妖怪という不思議な響きは、大人になっても、興味を惹かれるものです。
赤ちゃんがモチーフとなっている妖怪「赤子(あかご)」というのがいるそうです。
一体どんな妖怪なのでしょうか?
<妖怪「赤子」ってなに?>
「赤子」は、長野県と、大和国=現・奈良県に伝わる妖怪です。
また、俳人、与謝野蕪村による妖怪絵巻「蕪村妖怪絵巻」にも「赤子」という妖怪が出てきます。
それぞれに「赤子」の伝承が違っています。
●【タイプ・1】赤ちゃんの泣き声に誘われて川に引きづりこまれる
川赤子という妖怪は、水辺にいます。
赤ちゃんが激しく泣く声がするので、近寄って探すけれども、姿が見えません。溺れてしまうのではと心配になって、水の近くを探しているうちに、大人が川に引きづり込まれてしまうというのです。
これが、川赤子の言い伝えです。
また、川赤子に似た「山赤子」というのもいて、これも山の中から赤ちゃんの泣き声が聞こえるので、探していくと、山道に迷ってしまうのだそうです。
人間というのは、赤ちゃんの泣き声に反応せずにはいられないのだそうです。
不思議でちょっと怖い話ですね。
●【タイプ・2】小さな子どもの姿
長野県に伝わる赤子は、大町市にある木崎湖の水中に住むといわれています。
外見は11歳か12歳ほどの人間のようだが、その名が示すように、産まれたばかりの赤ん坊のように赤く、髪は猩猩(しょうじょう=猿に似た架空の動物)のようだと言われています。
漁師が水中に隠れている赤子を目撃することがあるものの、特に人間に対して危害を加えることはないと言われています。猩猩(しょうじょう)というのも架空の動物で、毛むくじゃらの猿と人間の中間のような不気味な容姿をしています。
●【タイプ・3】踊る新生児たち
大和国(奈良県)に伝わる赤子は、明治時代の妖怪絵巻「ばけもの絵巻」に「赤子の怪」として記述されているものです。
あるところに化物屋敷と呼ばれ、一切誰も寄り付かない家がありました。
とある剣術者がその家に住み着いている化物の正体を見極めようと、果敢にもその家に泊まったところ、夜中になり障子の向こうから、誰かが踊っているかのような不気味な音を聞きます。
その剣術者が覗き見ると、生後間もない赤ん坊のような者がそこで踊っています。
しかも、どんどんその数を増し、遂には数百人にもなってしまいます。
剣術者は百人にものぼる赤子を斬り払おうと太刀に手をかけたものの、手がすくんでしまいます。
どうすることもできない内に、ついに夜が明けてしまいますが、同時に赤子たちも消え去ったというお話です。
タイプ2と3は、どちらも人間に無害な妖怪ですが、とても気味が悪いですね。
昔の人たちは、こんな空想をして遊んでいたのでしょうか。
確かに現在でも、夜に子どもを見かけたり、違和感のある場所に子どもがいると、心配になると同時に不気味に感じることがあります。
ホラー映画にも子どもの幽霊が登場したりしますね。
子どもや赤ちゃんはとても弱い存在であると同時に、神秘的な存在なのかもしれません。
<出典>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E8%B5%A4%E5%AD%90