現在、ニュースなどでも頻繁に報道があるように、残念ながら、親などによる子どもの虐待が深刻な社会問題となっています。そんな増え続けている児童虐待に関する未然の防止対策のひとつとして、ようやく政府が動きだしました。
昨年1年間だけでも、全国208か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数が、103,260件と年々増加が止まらない児童虐待問題。
そんな中、厚生労働省は、児童相談所にて子どもの安全確保が必要と判断した場合は、保護者の同意がなくても、積極的な一時保護を行うとの、これまでの運営方針を見直す通知を、各自治体に出しました。
これまでも、児童相談所の職員が虐待を受けていることに気付いているにもかかわらず、子どもたちを保護できずに、結果、事件化まで追い込んでしまっているという悲しい事件が散見されていました。実は、この運営方針の見直しになったのも、そんな事件のひとつがきっかけでした。
みなさんも記憶に新しいとは思いますが、おととし、神奈川県相模原市の児童相談所に、両親からの虐待のなか、施設で暮らしたいと保護を訴えてきたこうい中学生に対し、親の同意が得られなかったとのことで保護を見送り、その後、自殺が確認されたという事件です。
具体的には、これまでは、原則として、一時保護に関し、保護者の同意が必要であると定めていた文言に対し、同意を得ることは望ましいに変更し、両親に拒否されても躊躇なく、児童相談所の判断で保護できるようにすることが狙い。
虐待かもと思った時などに、すぐに児童相談所に通告・相談ができる全国共通の電話番号は、「189」です。この「児童相談所全国共通ダイヤル」にかけるとお近くの児童相談所につながります。通告・相談は、匿名で行うこともでき、通告・相談をした人、その内容に関する秘密は 守られます。この制度の見直しが、幼児虐待等、未然に防ぐ歯止めになることを期待します。