韓国に住む認知症のおばあさんが、産後の娘のためにわかめスープを持っていった心温まるお話です。
自分の名前は忘れてしまっても、母乳に良いとされる食べ物を出産後の娘に届けようということは忘れなかった、おばあちゃんの愛情と優しさに涙が出てきます。
●道に迷った認知症のおばあさんが大切に抱えていた包みには・・
韓国、釜山のとある派出所に、お昼すぎ、おばあさんが包みを持って町内を1時間以上も徘徊してる、と通報が入ります。
現場に到着した巡査は、大きな2つの風呂敷袋を抱える年配の女性を発見し、名前や住所、行き先などを質問します。
しかし、この女性は、「娘が赤ちゃんを生んで病院にいる」と繰り返し言うだけです。
ここで巡査は、この女性が認知症であることに気が付きます。
携帯で女性の顔写真を撮り、通りすがりの人たちに、この女性のことを知った人はいないかと、聞き込み調査を始めることにしたのです。
そして、女性を座って休ませるために、派出所に連れて行くも、重そうな包みには決して触らせてもらえません。
そうして、やっとこの女性の知人を見つけることができ、名前や住所、さらに娘が出産した病院なども分かったのです。
実に、昼過ぎの通報から、なんと6時間もが経過していたのです。
●自分の名前は分からなくても、母乳に良い食べ物は忘れない母の想い!
病院で待っていた娘は安堵の溜息をつき、母親が大切に抱えていた包みを解きました。
そこから出てきたものを見た巡査は思わず言葉を失います。
この包みには、この女性が手作りをしたわかめスープや野菜のおかずなどが入っていたのです。
韓国では、カルシウムたっぷりの温かいわかめスープを、出産後の母親に食べさせるという習慣があるのです。
自分の名前は分からなくても、この女性は、娘のために母乳に良い食べ物を忘れることはなかったのです。
自分の名前すら思い出せないほどに認知症が進みながらも、娘にわかめスープを食べさせたい、という愛情の深さに、心が温まりますね。
娘は涙を流しながら、母親から差し出された、冷たくなったわかめスープを食べたそうです。
Photo by Harald Groven