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亡くなった父が、死後77年間も息子を導き続ける。思春期で迷った時も、親になって戸惑った時も。

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もしも、まだ小さな我が子を置いて先に死ななければならない時が来たら。
親であれば、考えただけでも胸が苦しくなりますが、ガンの診断を受けた父親が8歳の息子に書いた手紙がたくさんの人たちの胸を熱くしています。

●亡くなる父親が息子に書いた手紙とは・・

ガンの診断を受けた27歳の男性には、8歳のラファエルという息子がいました。
この男性は、もうすぐ自分が死んでしまうことは知っていましたが、最愛の息子にはそのことは知らせず、代わりにたくさんの手紙を書いていました。
この父親は、8歳の息子のために、自分が死んだあとも困ったとき悩んだときに助言できるよう、たくさんの手紙を残したのです。
ラファエルは、父親が亡くなったとき、悲しみに打ちひしがれました。
しかし、ラファエルのその後の人生の心の支えとなる、父親からの手紙の束を看護婦から受け取ったのです。

●思春期のとき、母親と大喧嘩したときに・・

息子の人生を導くために書かれた手紙の封書には、住所の代わりに「ママと大喧嘩をしたときに」「君が父親になったとき」などと書かれていました。
その時期が来た時に開封するようになっていたのです。

手紙の束は小さな木箱に入っていて、最初の封書には「私がいなくなったときに」と書かれていました。
自分が死んでしまうことを黙っていたことを謝り、人生で困ったときに手紙を開けるように書かれていました。
ラファエルは、手紙に書かれた言葉にいつも癒され、父親がいつも近くにいてくれるような温かい気持ちになったそうです。

ラファエルが15歳になって、初めてママと激しいケンカをしたとき、「ママと大喧嘩したときに」という手紙を開きました。
ママが一番、君のことを愛していることや、きちんと話しをして謝ること、などが書かれていました。
この手紙をママに見せたとき、ママは涙を流し、2人はすぐに仲直りすることができたのです。
あまりにも的確なアドバイスに、いつもラファエルはびっくりしたと言います。
この父親は死んだあとにもしっかりと息子を導き、家族の絆を深めていたのです。

「童貞を失ったときに」という手紙には、同じ男性として、笑いながらおめでとうと伝えてくれます。

ユーモアも込めて、ラファエルが人生の階段を上るたびに、父親が寄り添ってくれているようでした。

●父親になったときには

「君が父親になったときに」という手紙には、小さな命を全力で愛して、オムツを替えてお風呂に入れてあげるよう書かれています。
子どもとの時間は驚くようなスピードで過ぎていき、二度と戻らないから、大切な時間をなるべく一緒に過ごして、そして、子どもがいつも頼れる存在でありなさいと伝えています。
「私の息子だから、君はきっと素晴らしい父親になれるよ」と温かい応援の言葉が添えられています。

「ママが亡くなったら」の手紙は、ラファエルにとって、とても大きな悲しみの中にいる時でしたが、ためらいつつも手紙を開くと、短く「今、ママはパパと一緒にいるよ」と書かれていました。

人生の喜びや、悲しみ、迷った時など、転機を迎える時は必ず、父親の手紙がラファエルを導いてくれました。

●死の瞬間まで寄り添ってくれた父親

父親の手紙は、ラファエルが85歳の高齢になるまで支えてくれます。
病院の医療機器に囲まれ、もう自分は長くないと悟った時、「君に最期のときがきたら」と書かれた封筒を開きました。
これを読んでるラファエルが高齢であることを祈りつつ、これまでの人生を振り返りながら父親自身も死を受け入れていった体験談や、心やすらかに過ごせることなど書いて、ラファエルの死の恐怖をやわげてくれました。
そして、手紙には最後に君に会えなくなるのが寂しいよと書き添えられていました。

ラファエルは、85歳のおじいさんになって亡くなるまで、77年間も父親の手紙が導いてくれたのです。

父親の書き残した手紙はどれも愛に溢れていて、とても涙なしには読めないものばかりです。

いつも当たり前にある生活の中で忘れてしまいがちな、子どもや家族の大切さに気付かせてくれます。
もし自分が幼いわが子を残して、この世を去らなければならない時、どんな言葉を残すのか、少し考えさせられますね。

Photo by Remy Sharp

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