子供が行方不明になるというのは親にとっては何とも痛ましいことですが、はぐれた家族と再会するまでを描いた実話が感動的です。
・家族と離れた4歳の息子
インド出身のサローくんは4歳の時に家族と離れ離れになるという経験を持っています。
小さな村で母親、3人の兄弟と暮らしていたサローくんの家は非常に生活が厳しく、母親が泣いていることもしばしばという状態でした。
ある日電車の掃除をする仕事をしていた兄グッドゥ君と一緒に出掛けたサローくんでしたが、グッドゥくんにここにいるように言われそのままはぐれてしまいました。
サローくんはずっと電車に乗っており、いつの間にか眠り、目が覚めたときには知らない土地を走っていたのです。
さらに文字の読み書きや数字の計算などもできませんでしたし、自分がどこに住んでいるのか知ることもありませんでした。
そしてカルカッタに降り立ち、浮浪児として生活することになってしまったのです。
・センターに収容されたサローくんの運命
サローくんは孤児を引き取るセンターに連れていかれ、オーストラリア人の夫妻に引き取られることになりました。
家族と離れ離れになった息子を母親が探さないわけもなく、役所に掛け合っても見つけることはできませんでした。
一方オーストラリアの家族はルーツを忘れないようにとサローくんの部屋にインドの地図を貼りました。
そしてサローくんは自分の家族のことを考えない日はなく、そのまま成人になりました。
そんな時サローくんはGoogleEarthを使って彼の生まれ故郷を探すことにしました。
バーチャルの世界ながら自分の生まれた場所や覚えている景色を探していったのです。
そしてある日、兄弟とはぐれた一本の橋を見つけ、そこからけがをした噴水を見つけ、とうとう出身地である村を見つけ出しました。
ようやく自分が生まれた村へ足を運ぶことができたサローくん、家の近くにいた3人の女性の一人がすぐに息子のサローくんだと気づき、腕を取りました。
そしてサローくんの兄弟に電話をし、幽霊のようにいきなり帰ってきたと嬉しそうに笑いながら話しました。
残念ながらグッドゥくんはサローくんが行方不明になった1カ月後に列車の事故で亡くなっていましたが、25年の時を経て家族はやっと再会することができたのです。
Photo by Stephan Hochhaus