3歳の女の子がTシャツ1枚だけの姿で、シベリアの危険な森林で11日間迷子に。
氷点下の荒廃した原野で、どのように生き延びたのでしょうか?
生死を分けたのはなんだったのでしょう?
シベリアに住む3歳のカリーナ・チキトヴァちゃんが、仕事で隣町に出かけたパパを追いかけ、一人で歩き慣れた道をでかけていきました。
しかし、すぐ近所の隣町にパパはおらず、森に出てしまったとのこと。
すると、カリーナちゃんはパパを追いかけて森へ入ったのですが、そのまま道に迷ってしまったのです。
ママはパパが一緒だから大丈夫だと思い、パパはまさか子どもが自分に会いに追いかけているともしらず…。
カリーナちゃんが行方不明だとわかったとき、ママは一人で行かせたことを死ぬほど悔やみました。
北国シベリアは寒く、夏でも、夜は氷点下まで冷え込みます。
さらにカリーナちゃんが迷い込んだ森林は深く、道もなく、背の高い草や木が生い茂り、熊や狼などの大型肉食動物が徘徊するエリア。
3歳の女の子がTシャツ1枚だけで、裸足、という薄着で長くいられる場所ではありません。
寒さで凍え死ぬか、動物に食い殺されるか…。
すぐに広範囲の捜索を行いましたが、カリーナちゃんは見つかりません。
捜索が10日も過ぎると、絶望の声が上がり始めました。
そして、11日目の朝、カリーナちゃんと一緒に行方不明になっていた、犬のナイダが、ふらりと村に戻ってきたのです。
救助隊も家族も、不吉な予感に襲われました。
カリーナちゃんは助からなかった、だから犬だけ戻ってきたんだ、と。
しかしナイダはすぐにUターンし、森に戻ろうとします。
急いで後を追うと、森の中で草むらにしゃがんで隠れているカリーナちゃんを見つけたのです。
疲労して痩せ細り、傷だらけの全身、体も芯まで冷え切っていましたが、奇跡的に生き延びていました。
救助隊が差し出したクラッカーを口に入れるだけの元気がありました。
救助されたカリーナちゃんは言いました。
川の水や野いちごで食いつないだこと、夜はナイダと体を寄せ合って寒さをしのぎ、熊や狼が近づいてきたときはナイダが追い払ってくれたそうです。
両親はカリーナちゃんをぎゅっと強く抱きしめ、涙を流しました。
そして、ふだんおとなしくて頼りないナイダが、カリーナちゃんを守ってくれたことに心から感謝したそうです。
ナイダをたたえて、村にはカリーナちゃんとナイダの銅像がつくられました。
その後も、カリーナちゃんとナイダは仲良く暮らしています。
凍死する寒さ、飢え、食い殺そうと狙う大型肉食動物、孤独…。
ナイダがいてくれなかったら、命はもとより、カリーナちゃんの心の傷も大きなものになっていたでしょう。
11日間も遭難した3歳の女の子の心と命を支えてくれたのは、小さな家族でした。
カリーナちゃんが元気になって本当によかったですね。
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