ひな祭りが終わったら「すぐにひな人形を片づけないと、娘がお嫁に行き遅れる」
有名な言い伝えです。
●「行き遅れる」は迷信!
お店のショーウィンドウなどは、ひな祭りの翌日、3月4日にはすっかり片付いていて、「うちも早くしまわないと!」と焦ります。
むしろ、忙しい家庭では「そもそも、今年は出してなかった!!」ということもあるかもしれませんね。
ところが、この「翌日には片づけるべき」は迷信であるそうです。
●ひな人形はいつ出して、いつしまうべきなの?
本来、ひな人形を飾り始める時期は、立春(節分の翌日)から遅くとも2月中旬くらいまでがよいとされています。
せめて、ひな祭りの1週間前には飾りつけを済ませた方がよいでしょう。
そして、片づける時期ですが、様々な説があります。
「啓蟄(けいちつ)の日」=3月6日頃がよい、という説。
ひな祭りから2週間後くらい=3月17日頃がよい、という説。
また地方によっては、旧暦のひな祭り=4月3日まで飾る、という説。
つまり、どの時期でも、よいのです。
ちなみに、迷信の元となったのは、幕末の尾張徳川家で「3月4日にひな人形をすぐに片づけた」という記録によるようです。
●慌ててしまう方が、人形に悪影響
確かに「早くしまわなきゃ~」と思いつつ、出しっぱなしにしていると、女性の品位が損ねられる気がします。
そんな気持ちの問題としても「行き遅れる」の迷信が生まれたのかもしれません。
しかし、ひな人形を取り扱う職人さんや専門家によると、短時間で慌てて収納する方が、人形には悪影響なのだそうです。
ほこりが残っていたり、シワができたり、つぶれた形で箱に押し込んでしまう方が、人形を痛めてしまうのだそうです。
逆に好ましいのは、良く晴れた日、湿度の低い、カラリと空気の乾燥した昼間に、ひな人形をしまうべきだと、専門家は口をそろえます。
つまり、天候と相談しながら、時間に余裕のある時に、丁寧にひな人形を片づけた方がよいのです。
理想的な収納方法は、手袋をして手垢をつけないようにしてから人形を扱い、羽ぼうきなどで優しくホコリを払い、薄紙などで包んで、人形用の防虫剤などを一緒に入れて、丁寧に納めると、来年もおひな様たちは同じ輝きを放ってくれるはずです。
このルールは、五月人形でも同じです。
湿気は人形の天敵なので、雨の夜に収納するのは、特に避けましょう。
●1年中飾るのもアリ!
ひな祭りは、おひな様を愛でる気持ちが大切なので、丁寧に飾りつけ、素敵な女性になりたいという気持ちで眺め、愛情をもってきちんとしまう、その一連の流れが大切だといわれています。
最近は、美しいおひな様をなるべく長期間飾りたいということで
「お正月の後からすぐに飾る」
「1年中飾りっぱなしにしている」
という人たちも増えています。
専門家によると、これらはどれも正解なのだそうです。
1年中、箱の中にしまったままにするより、見える場所に飾って、みんなで慈しむ方が、おひな様にとっても幸せなことですね。
●忙しいママの負担とならないように
片づけの日が決まっていないというのは、忙しいママにとってもありがたいことですね。
ひな人形は出すのもしまうのも手間ですが、家族が喜んでくれるから、飾りがいがありますね。
そして「行き遅れ」の迷信が払しょくされれば
「おひなさま片づけるのがいつも遅かったから、わたしはしばらく結婚できないかな」
なんて冗談は、過去のものになりそうですね。