育児クライシスとは、育児関して夫婦の意見が分かれたり、相性が悪くなったりしたために起こる亀裂です。
これは夫婦間の愛情が冷え込んでしまったことを意味し、最悪離婚の危機に陥ります。
トロント大学が調査したところ、産後の女性は最初、夫への肯定的感情が減る傾向にあるそうです。
目白大学心理学教授によると、親になることによって起こる夫婦関係の変化が見られるのだそうです。
親になる前と比較すると、2年後、3年後は、夫婦の親密性が低くなってしまっているのだそうです。
これが育児クライシス、産後クライシスと呼ばれるものです。
なお、この原因の一つとして考えられるのは、女性が産後分泌される女性ホルモンの増加によって、敵対感情が高まることもあるそうです。
よく動物のお母さんが、産後気が立っているというのはこれが関係しているようです。
つまり、悪いのは夫、妻ではなく、女性の生理的減少によるものであり、どうしようもないのです。
心理カウンセラーは、誰も悪くない、ということをまず伝えるそうです。
しかし、産後、妻が辛いと思う時期を、夫が理解してくれないというのは大変です。
これは産後クライシス、育児クライシスを余計に悪化させます。
ですが、育児や家事をしない夫が悪い、だから妻は大変、というのもまた短絡的といえるでしょう。
親になって最初のうちは親密性が低下していても、2~3年で落ち着くことがデータとしてあげられており、さらに夫から妻に対しての親密性が下がる原因は、子どもがいる生活に対し妻がイラついていること、夫が仕事で長時間家を留守にすること、妻が仕事をしていることが関連しているといいます。
子どもがいるということは、子供がいないときとは明らかに違います。
しかも育児クライシスが悪化してしまうと、夫は育児からますます遠ざかり、妻はより育児に専念するようになるそうです。
これは女性と男性のストレス解消方の違いで、女性は男性よりも、人に頼ることによるストレス対処傾向が強いというのです。
今の時代、家族は核家族が多く、地域や大家族で育てるということが少なくなっています。
ではどうすればいいのかというと、育児クライシスは反抗期、成長期と思えばいいでしょう。
夫婦の変化が原因で起こることですから、一時的なことなのです。
お互いにお互いを理解し、歩み寄ることで、解消する道も見えてくるのです。
お互い不満を抱くことも多いでしょう。
ですがそれをそのまま放っておくのではなく、時には言葉にしたりぶつけ合えばいいのです。
その上で、お互いの助けがなければ解決しないことを学びましょう。
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