出産というのはママにとって人生の中でもっとも重大なイベントの一つですが、これは、赤ちゃんにとっても同じことで、生後間もない赤ちゃんには、急激な変化が起こっているのです。
<生後間もない赤ちゃんに起きている、3つの急激な変化!>
●一瞬で、体の中を大改造
胎児のときにも心臓も動き、血液は心臓を通っていたのですが、通常私たちは、酸素や二酸化炭素の交換は肺で行っていますが、胎児はへその緒、胎盤に依存しています。
また、通常、腸で行われる栄養素の吸収や、通常、肝臓や腎臓で行われる老廃物の排泄も、胎児は全てへその緒と胎盤に依存しているのです。
人間が自力で行う機能は、胎児のときにはすべて母親にゆだねられていたのを、生まれた瞬間から自力で行っていかなくてはいけないのです。
【1】肺をふくらませて、呼吸を開始
羊水の中にいたころは、肺の中にも水が入っていました。
しかし、一瞬で肺の中を乾かして、肺胞を膨らまして、自力で呼吸を開始するのです。
赤ちゃんは小さな身体で大きな産声を発しますが、このときに、肺に溜まっていた水分を吐き出して、酸素をたくさん取り込み肺が膨らみます。
まるで、ぺちゃんこの風船に一瞬で空気が入るように、肺胞一つひとつが、一気に膨らむのです。
たった一瞬の出来事ですが、身体を満たしていた水分を吐き出すという作業ですから少し時間のかかる子もいて、生後24時間くらいは透明な羊水のような水分を吐く、初期嘔吐が見られる赤ちゃんもいます。
【2】3つの穴を一瞬で閉じて、血液の流れを変える
胎児の時は、ママが吸った酸素が、へその緒を通して、赤ちゃんの体内に入り、赤ちゃんの心臓は、その血液をぐるっと循環させるだけでした。
おへそが、酸素と栄養を入れる口だったのです。
しかし、生まれた直後から、自分で呼吸した酸素を体内にめぐらせ、不要な二酸化炭素を集めて捨てなければいけません。
そのため、生まれた直後に血液の流れと心臓の形を、一気に変えます。
心臓の中に、汚れた血液とキレイな血液を分ける仕切りができて、今まで中心になっていたおへそは素通りするように血管を改造するのです。
この大きな変化は、胎児のときにあった3つの穴を閉じることで行われます。
3つの穴は、(1)動脈管(2)静脈管(=血管)(3)卵円孔(=心臓内部の穴)、一瞬で閉じることで、血液の流れを大きく変化させ、あらゆる機能を自力で行っていくことが出来るのです。
この3つの穴を一瞬で閉じるのが、赤ちゃんの「おぎゃー」という大きな産声なのです。
息を吸い込んだ瞬間に、血液の流れが変化し、へその緒閉じることが出来ます。
【3】外界の大きな変化にも適応
また、重力に逆らって動く、ということも赤ちゃんには大きな変化です。
羊水の中でぷかぷか浮いていた状況から、重力のかかり方が全く違う陸上での生活が始まります。
自由に手足を動かせる環境で子宮という壁でしっかりと守られた状態から、一気に違う環境に慣れるために、赤ちゃんは一生懸命に頑張っています。
そして、聞こえる音も全く違います。
胎内で聞こえていたのは、ママの心臓の音やママのしゃべる声など、羊水という水を通しての音だったのが、それまでとは全然違う大人の喜んでいる声、シャッターの声、あらゆる音や声が初めての音なのです。
生まれてすぐ、特に生後2時間は、ママに抱っこされて心臓の音を聞きながら静かに過ごすのは赤ちゃんにはホッと出来る環境です。
このような急激な変化に対応しようと頑張っているのが新生児です。
できるだけ、大きな刺激を与えないように、静かに見守ってあげることが大切ですね。
Photo by Kala Bernier