イタリアに住む女性、ローラは生まれたばかりの友人の息子のために靴下を編んでいたところ、その靴下が小さすぎてしまったという失敗からとても素晴らしいアイデアを思いつきます。
●新生児サイズすらブカブカ…NICUの赤ちゃんたち
ローラは、新生児用の集中治療室、NICUで過ごしている未熟児たちの、靴下や洋服を編んであげることを思いついたのです。
NICUの赤ちゃんたちは、とても小さいので、一般的な新生児サイズの衣服すらブカブカで、せっかく買ってあったベビー服も、まだ着られないことが多いのです。
紙オムツも、世間一般では販売されてない、新生児サイズよりさらに小さい「マイクロサイズ」などが使用されているほどです。
かわいいデザインの帽子や靴下を身に着けてあげたくても、未熟児の赤ちゃんにとって、サイズはもちろん、胎児並みに薄くて敏感なお肌なので、市販の衣類では肌荒れを起こすリスクも高く、おしゃれをさせてあげないことも、家族にとって悲しみとなっているのです。
しかし、手編みの靴下なら、未熟児の赤ちゃんにもぴったりのサイズで作ってあげることができるのです。
ローラは小さいサイズの編み物をつくることで、NICUの家族たちの心も支援もしたい、と思ったのです。
●ハードルが高い「未熟児のための編み物」
ローラは編み物が好きな友達を誘い、「Knitting Heart(心を編む)」という未熟児の家族を支援するグループを立ち上げたのです。
活動がスタートすると瞬く間に参加者は増えていき、いまではイタリア中の女性たちと活動しているそうです。
このグループの編み手として、子どもから大人まで幅広い年代の女性がおよそ1000人が活動しています。
しかし、ただ編み物が好きなグループではありません。
身体が虚弱な未熟児のために靴下や洋服を編むのです。
それには使用する毛糸や編み方にも細心の注意が必要になります。
一度でも使用された毛糸はもちろん、アクリルを含む毛糸も使用できません。
さらに、アレルギー反応を予防するためや摩擦などの刺激を防ぐために、継ぎ目のない編み方を工夫する必要があります。
「Knitting Heart(心の編み物)」に参加する女性たちの中には、実際に未熟児の母親だった人もたくさんいます。
子どもの成長を見届けることが出来た人、または、子どもを失うという苦しみを味わった女性もいます。
参加者全員が、困難な状況にいる家族を少しでも安心させることができれば、という共通の思いがあります。
わずか数年間で、イタリア55か所の病院で、彼女たちの編み物が導入されており、さまざまな団体とも協力してその活動の場を広げています。
何百もの靴下、帽子、ブランケットなどが、毎月イタリア各地の新生児集中治療室に発送されています。
パワフルな女性たちが心を込めて編んだ温もりあふれる贈り物は、未熟児の身体にぴったりで、とても気持ち良さそうです。
ぴったりサイズの可愛らしい洋服に身を包まれて、赤ちゃんたちも、心なしか、誇らしげで嬉しそうに見えますね。
その姿を見る家族も、きっと誇らしげで、嬉しいと感じることでしょう。
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