妊娠したら赤ちゃんは40週で生まれてくるもの、と思い込んでいる夫婦は多いのですが、そうでないケースが多いのです。
医療の発達によって死産になる赤ちゃんが減った一方、未熟児や体の機能に障害を持って生まれてくる赤ちゃんの割合は、年々増えています。
そんな赤ちゃんが育つための手助けをしてくれるのが、NICU、つまり新生児集中治療室です。
●NICUはこんなところ
本来なら、まだ母親の子宮の中にいた方がいい、小さな未熟児の赤ちゃんたちを、子宮の中に近い環境で入院させて、24時間体制でお世話する病棟です。
普通の病棟と比べて、暗く、温かく、ずらりと保育器が並んでいて、人工呼吸器やモニターなどのランプが点滅している、不思議な空間です。
赤ちゃんはほとんど泣くことなく、チューブに繋がれたまま眠っているのです。
あまりに小さく生まれてしまったわが子や障害を持つ赤ちゃんを見てショックを受けるパパやママも多いのですが、NICUがどのようなところか知ることで今後自分にも起こるかもしれない出来事と向き合うことができるでしょう。
●NICUで働く女性がリアルな現状を伝える
NICUに勤務するブリタニー・デニスさんは、SNSに生まれて間もなく亡くなった赤ちゃんを抱っこする写真を投稿しました。
この写真は、NICUに勤めるブリタニーさんの仕事の一部でしかありませんが、写真から伝わってくるメッセージが世界中で感動を呼んでいます。
ほとんどの人はNICUで働いているというと、赤ちゃんにミルクを飲ませたり、あやしたりして、「可愛い赤ちゃんと触れ合えて、ほのぼのした職場」と思ってしまうそうです。
しかし実際NICUでは、未熟児や体に機能障害を負って生まれてきた赤ちゃんが、現代医療を受けて生きられるように、人工呼吸器や点滴を付けたり、検査や治療を行い、注射や薬をあげたりして、24時間体制でお世話をし、赤ちゃんが外の世界で生きていけるまで育てるための場所です。
時にはパパにおむつの換え方を指導したり、疲れてしまったママに赤ちゃんを抱っこさせてあげることもあります。
あまりに哀れな姿となってしまったと泣いている母親を安心させるために、言葉をかけるのもNICUの役割です。
NICUでは、常に奇跡が起こっているとブリタニーさんは言います。
赤ちゃんからチューブが取れた、体重が増えたと言えば両親と喜びを分かち合い、感染症を起こしてしまったと言えば、赤ちゃんを助けるために全力を尽くします。
しかし無事に退院する赤ちゃんもいれば、残念ながら亡くなってしまう赤ちゃんもいるのです。
そのとき、両親の意向にできるだけ添い、赤ちゃんを送ってあげるのもNICUの仕事です。
写真の姿は、まさに、赤ちゃんの死を、まるで我が子のように悲しむ、ブリタニーさんの姿です。
NICUはもう一つの家として、赤ちゃんだけではなく、家族が一つの事態に目を向けて取り組める場所なのです。
Photo by Jos, Joanna, Micaela, Finn, and Davey Purvis