医学が進歩するにつれて解明されてきた病気はいろいろありますが、自閉症もその一つです。
ザッカリー・タッカーは自閉症を抱える少年で年々ひどくなる症状に周りも困り果てていたのですが、彼を救ったのは意外な人物でした。
・アスペルガー症候群の少年
最近よく知られるようになった自閉症の一つにアスペルガー症候群があります。
広汎性発達障害とも呼ばれ、相手の気持ちやその場に会った行動が分からない、コミュニケーション障害、行動や興味、活動が限定していると言った症状が見られます。
そんな自閉症を持って生まれたザッカリー・タッカーくんは小学校に入ってから年々ひどくなるアスペルガー症候群に悩まされ続けてきました。
彼の症状は周囲とのコミュニケーションが難しいこと以外にもパニックになりやすい、突然泣き出すといったことが挙げられ、特に人が触るとパニック状態はひどくなりました。
彼の両親であるアーサーとスージーは彼のためなら何でも試そうとし、9歳の時に自閉症の子供の相棒になってくれるコンパニオンドッグを育てるトレーナーを見つけたのです。
・殺人犯との交流が彼を変える
しかしドッグトレーナーであるクリス・ヴォート氏は殺人罪により48年の禁固刑に処されていました。
彼が参加していたのがシェルターに保護された犬のリハビリだったのですが、自閉症のことを学んだクリスは自閉症の子供たちをサポートする犬を訓練することを考え付いたのです。
自閉症の子供向けのコンパニオンドッグは他にはほとんど存在しません、しかしそのトレーナのクリスが殺人犯ということで両親もザックも迷いました。
ところが初めて出会ったチョコレート色の瞳を持つ犬を一目で相棒と確信した少年はすぐにこの犬を気に入りました。
クライドと呼ばれるこの犬は少年の心拍数上昇を察知すると彼の気をそらしてパニックを防ぐことができます。
少年は何度も刑務所に赴き、コンパニオンドッグのクライドとともにトレーニングを積んだのです。
クライドと少年は周りが認めるパートナーとなり、症状が落ち着いた少年は成績トップの特別クラスへ通います。
服役中のクリスも少年からの感謝を受け、こうした社会貢献が罪を償うことになると涙を流したのです。
Photo by Karen Sheets de Gracia