「無印良品」の乳幼児用パジャマから、基準値を超えるホルムアルデヒドが検出されたとして、運営会社「良品計画」は自主回収することを発表しました。
●無印のベビー用パジャマ
自主回収することになったのは
「オーガニックコットンフランネルお着替えパジャマ(ベビー・赤)」
80・90・100センチです。
10月26日から全国で694枚を販売しましたが、宮崎市による抜き打ち検査で、基準値を上回るホルムアルデヒドが検出されました。
そうなってしまった原因は未だわからないそうです。
●ホルムアルデヒドって何?
ホルムアルデヒドは、布の加工や建材、家具などに使われている化学物質です。
ホルムアルデヒト35%の水溶液は、ホルマリンとも呼ばれ、どちらもほぼ同じ物質です。
かすかにツンとした刺激臭があります。
ホルムアルデヒドは、布の縮みを防ぎ、パリッとしたハリを出す効果があるため、布の加工に使われています。
新品の洋服に、独特の匂いを感じたことはありませんか?
●ホルムアルデヒドは移りやすい
ホルムアルデヒドは、空気や水、水蒸気に溶けやすい性質があり、近くにあるだけで別の物質に移ってしまいます。
ですから、ベビー服を新品の家具や、大人の服の近くに置いておいたり、ただ室内にあるだけでも、ホルムアルデヒドがついてしまいます。
つまり、新品の服を着た大人が、赤ちゃんを抱っこするだけでも、赤ちゃんの服にホルムアルデヒドが移ってしまうのです。
●アレルギーや皮膚炎に…ホルムアルデヒドが人体に及ぼす影響
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因にもなります。
ホルムアルデヒドの成分に触れたり、吸引したりすることで、皮膚や粘膜に悪影響を及ぼします。
具体的には、せき、くしゃみ、よだれ、のどの痛み、目のかゆみ、涙、鼻水、刺激性皮膚炎など、アレルギー反応を引き起こします。
大人でも刺激がありますが、赤ちゃんは大人の半分以下の皮膚の薄さですから、その刺激は計り知れません。
日常的に長時間さらされていると、慢性毒性中毒症状といって、化学物質に対して過敏に反応がでるようになって、症状が悪化します。
頭痛、結膜炎、鼻咽喉炎、慢性的な皮膚炎になってしまいます。
またWHOの下部機関である国際がん研究機関では、発がん性があると警告されている物質でもあります。
●厳しい子ども服の基準
そのため子ども服を製造する際は、特に厳しい検査基準が設けられていて、生産中の取り扱いにも細心の注意を払って作られています。
そして、ほかの物からうつることを防ぐために、多くのベビー服はビニール袋で密封されて販売されていて、「ホルマリン移染防止のため袋から出さないで下さい」などの表示がしてあるのです。
●新しい服は洗濯してから着せよう
新しい服は必ず一度洗濯してから着るようにしましょう。
袋詰めの子ども服であっても、製造や輸送、販売の過程で、どこでホルムアルデヒドが付着したかわかりません。
ホルムアルデヒドは水に溶けやすいので、水洗いすることでほぼ取り除くことができるといわれています。
大人の服も、子どもの服も、新品の服は、必ず水洗いしてから着用するようにしましょう。
●新品のタンスや家具にも注意を
ホルムアルデヒドは、接着剤やコーティング剤にも使用されているため、せっかく洗った衣服も、新品のタンスに入れたり、新品の家具の近くで保管しているうちに、そこから移染してしまうことがよくあります。
住宅建材の基準は厳しくなりましたが、家具は規制がなく、特に輸入家具は化学物質が多く使われている傾向があるので、家族を守るために注意が必要です。
新築の室内や、新しい家具がある部屋は、よく換気をして、ホルムアルデヒドやその他の化学物質を早く発散させ、空気中の濃度を薄めることが大切です。
化学物質に囲まれた現代の生活で、子どもたちが健康でいられるよう、メーカーも気を使っているので、家庭でもぜひ配慮していきたいですね。
Source:
良品計画「回収についてのお詫びとお知らせ」
http://ryohin-keikaku.jp/news/2016_1207.html
東京都福祉保健局「ホルムアルデヒドの毒性」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/iyaku/anzen/law_qa/horu_doku.html
国際がん研究機関資料(PDF)
http://woodhouse.up.seesaa.net/image/IARCE799BAE382ACE383B3E680A7E383AAE382B9E382AFE4B880E8A6A7.pdf
Photo by David Quitoriano