いつの時代も、お産は母子ともに命がけです。
新しい命が生まれてくることは決して当たり前のことではありません。
それゆえに、待ち望んだわが子がなくなってしまい、産院で別れを告げることになる親御さんも少なくありません。
●一生に一度の美しいドレスを着せてやりたい
親なら、わが子の将来に期待を膨らませ、未来を思い描くでしょう。
いつか晴れ舞台に立つ日を夢見て…
しかし、それがかなわないとしたら、これほどつらいことはありません。
そんな親御さんの気持ちに寄り添うために、死産や、産後すぐに亡くなった赤ちゃんを送りだすためのドレス『エンジェルガウン』があります。
●『エンジェルガウン』とは?
『エンジェルガウン』は、亡くなった赤ちゃんに着せるためのドレスです。
日本ではまだなじみがありませんが、海外では、『エンジェルガウン』を作っている人たちがいます。
花嫁さんが使い終わって、クローゼットに眠ったままになっているウェディングドレスを寄付してもらい、赤ちゃんのための『エンジェルガウン』にリメイクします。
天使となるベビーの体はとても小さいため、1着のウェディングドレスから、15~17着の『エンジェルガウン』が作れるのだそうです。
わが子に、一生に一度は着せてあげたい、ウェディングドレスや晴れ着。
日本でも、男女問わず、ベビードレスを、退院やお宮参りで着せることがあります。
けれども、退院もお宮参りもできずに亡くなってしまった小さな命だって、ドレスアップして送り出してあげたいという親心は、世界共通ですね。
●ウェディングドレスは赤ちゃんに最適
『エンジェルガウン』を作るのに、ウェディングドレスを利用するのには、大きな理由やメリットがあるのだそうです。
なぜなら、ほとんどのウェディングドレスはシルク(絹)でできていて、新生児の柔らかな肌を傷つけず、やさしく包むことができるからです。
そして、生地の外側には、パールやレースなど、美しい装飾があり、そのまま利用することができるのです。
●「必要とされないことを願って…」祈りのメッセージとともに寄付
この『エンジェルガウン』を自分で作って、Facebookに投稿した人がいます。
それは自分のウェディングドレスが、17着もの『エンジェルガウン』に仕立てられたことを紹介するもので、とても可愛い小さなドレスの写真と一緒に投稿されています。
病院から自宅に戻ることができない天使ベビーのために作られた『エンジェルガウン』たちは、病院の新生児治療室に寄付されました。
「どうか必要とされないことも祈ります」、というメッセージも添えられています。
日本ではあまり目にかかることがない『エンジェルガウン』ですが、海外では、どんなドレスや洋服でもエンジェルガウンにリメイクすることができるそうです。
しかしやはり一番重宝されるのはウェディングという特別な思いが詰まったドレスでリメイクされたものです。
「天国でも幸せになってほしい」という親の願いとともに、天使になった赤ちゃんを見送るのです。
「わが子を失った両親たちの苦しみを少しでも癒せるなら」と、自分の大切なドレスを寄付する人もいます。
『エンジェルガウン』はとても可愛く素敵なドレスですが、必要とされないことを願うばかりですね。
Source:
http://angelgownsaustralia.org.au/
https://www.facebook.com/AngelGownsAustraliaInc/
https://www.littlethings.com/wedding-gown-angel-gowns/
Photo by
Chasity Brighton
Kala Bernier