妊婦さんのお腹を切って赤ちゃんをとり出す出産方法を帝王切開(ていおうせっかい)といいます。最近は帝王切開が増え、5人に1人が帝王切開で出産していると言われています。
その理由として、医療技術の進歩により、リスクのあるお産は無理して経膣分娩で行わず、なるべく確実で安全に出産できる帝王切開にすることで、母子ともに死亡率が下がり、いろんなケースの人が安心してお産をできるようになりました。
帝王切開がない昔の時代なら、母子ともに命を落としていただろうというケースも少なくありません。
帝王切開になるのはこんなケースです。
事前に帝王切開になることが決まる『予定帝王切開』とも呼ばれます。
●逆子(さかご)
本来頭を下にして生まれてくるはずの赤ちゃんですが、頭の位置が上(逆)になってしまうと、経膣分娩で酸欠になるなどのリスクがあります。
●多胎妊娠(たたいにんしん)
双子や三つ子などの場合、お産にリスクを伴うため、帝王切開が選ばれることが多いようです。
●前回のお産が帝王切開だった場合
子宮への負担を避けるため、一度帝王切開をすると、次回以降も帝王切開となるケースが多いようです。
●その他、リスクがある場合
ママの骨盤が赤ちゃんの頭より小さかったり、極端にママの体格が小さくて、膣からのお産が難しいと考えられる場合。
前置胎盤(ぜんちたいばん)や子宮筋腫など、大量出血などのリスクがあるお産の場合。
また、高齢出産では子宮や膣壁の柔軟性が低下する傾向があり、帝王切開となる場合が多いようです。
また、急に手術になる『緊急帝王切開』のケースでは、経膣分娩ができない、または危険を伴うと判断されたらすぐに手術に切り替えて行うことがあります。
早期胎盤剥離(そうきたいばんはくり)など、母子の命にかかわる緊急のケースや、陣痛がきてから赤ちゃんの首にへその緒が巻きついていることが判明するケース、分娩が長引いてお腹の赤ちゃんが弱ってきているなど、様々なケースがあります。
お腹と子宮を切るので大きな傷が残り、痛みも少し長引く傾向があります。
出産時はかなり体力を消耗しますので、免疫力の低下から感染症のリスクが高まるというリスクもあります。
一度帝王切開で出産したら、その後のお産で子宮の傷が開いてしまう可能性があるため、次回以降も帝王切開を選択するのが一般的です。
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