出産がいつでも幸せな場面になるとは限りません。
ある夫婦の元に生まれた、男女の双子の赤ちゃんの話です。悲しいことに一人は26週目に死産となってしまったのです。
夫婦はオーストラリアに住むケイトさんとデイビッドさん。
夫婦は長年待ち望んだ赤ちゃんを授かり喜んでいました。赤ちゃんは双子で、とても順調に妊娠が進んでいました。
ところが妊娠26週目で突然の早産。
女の子のエミリーはすぐに泣き声をあげましたが、2分前に出てきた男の子ジェイミーはいつまで経っても泣きませんでした。
病院内の空気は張りつめ、医師たちは血相を変えて、ジェイミーに20分もの間、必死であらゆる処置を施しました。その甲斐なくジェイミーの心拍は停止。死亡が確認されたのです。
医師はジェイミー君に別れを告げるよう、ケイトさんのもとへ連れてきました。
ケイトさんは冷たくなりかけた裸のジェイミー君を温めてあげたいと、自分の胸に抱き、夫のデイビッドさんにもシャツを脱いで、一緒に温めるよう頼みました。
二人は、亡くなったジェイミーを胸に抱きしめながら、涙ながらに、どんな名前をつけようとしていたか、一緒に生まれた妹のこと、パパとママがとても待ち望んだ子だったということを、語り続けました。
その時、奇跡が起こったのです。
ジェイミーくんが呼吸をはじめ、目を開き、小さな手でパパの指を握りしめたのです。
死亡と診断された未熟児の赤ちゃんが、自ら息を吹き返したのです。
専門家によると、肌と肌の接触は、赤ちゃんのストレスをやわらげて、呼吸と心拍と体温を安定させ、未熟児の死亡リスクを減らす効果があると言われています。
出産後に、赤ちゃんの肌とママの肌を合わせて抱く『カンガルーケア』をするママも世界中にいますが、実際にこのような奇跡が起こるとは驚きです。
その後、ジェイミーくんはエミリーちゃんとともに、すくすくと成長し、現在5歳。二人とも病気をすることなく元気に過ごしています。
その後弟にも恵まれ、5人家族になったデビットさん一家。
日々を元気で過ごせるという幸せをかみしめながら、過ごしているそうです。
夫婦は基金を募る「Jamie’s Gift(ジェイミーの贈り物)」というコミュニティページをFacebook上で開設。他の低出生体重児や病気の新生児を持つ家族を支援するための活動を行っているそうです。