妊娠中にお酒を飲んでしまったことがある人はどのくらいいるのでしょうか?
●「週に1~2回、コップ1杯までならいい」?
これまで、妊婦さんの嗜好品について、タバコは厳しく禁止されているものの、アルコールについては制限が厳しくないという現状もあるようです。
専門家によっては「週に1~2回、コップ1杯までならいい」という説もあり、これはお酒が大好きな妊婦さんの飲酒を後押ししてくれる魔法の言葉だったりします。
実際、妊娠中にタバコを吸ったことがある人より、妊娠中にお酒を飲んだことのある人の方が多いのではないのでしょうか?
さらに妊娠が判明する前に、知らずにお酒を飲んでしまった、という人も含めると、多くの人が該当しそうです。
●たとえ少量でも絶対にダメ!妊娠中の飲酒
しかし、アメリカの小児科学会が、最近発表した報告によると、「たとえ少量でも、妊娠中にはアルコールは一切飲んではいけない」ということです。
妊娠中の初期であろうと中期であろうと、どんな時期でも、妊婦の飲酒は、胎児に悪影響を及ぼすようです。
その理由は、赤ちゃんの生まれつきの障害の原因で最も多いのが、妊娠中の母親の飲酒だからです。
1日1杯だとしても、お腹の赤ちゃんの発達障害のリスクが高まるそうです。
具体的には、聴覚や視覚、心臓、骨、腎臓など、身体的な機能に問題が生まれるほか、情報処理能力の低下や、ADHDなど、脳の働きにもトラブルが現れると考えられています。
●障害の発生率が最大65倍!
産まれた赤ちゃんに上記のような障害が生じた率で統計をとると…
全然飲酒をしなかった場合を1とすると、
妊娠3カ月目までにママが飲酒すると12倍、
妊娠6カ月目までは61倍、
妊娠中の9カ月間ずっと飲酒を続けていた場合は65倍、
…と高まるそうです。
他の人が平気だったから、と気軽に飲んでしまい、後で我が子に障害が生まれてから後悔しても遅いのです。
●ほかにもある「胎児性アルコール症候群(FAS)」
もっと怖い障害もあります。
妊娠中も毎日たくさんアルコールを摂取してると、生まれてくる子に「胎児性アルコール症候群(FAS)」という先天性疾患が出ると言われています。
胎児の奇形と脳の障害で、眼球が小さくなったり、小頭症、顔面奇形などが特徴です。
これはママがお酒さけ飲まなければ絶対に防ぐことができる障害なのです。
もちろんどんなに気をつけても予期せぬ障害などはあります。しかしママの行動次第でリスクを少しでも回避できるのです。
<出典>
CNN
Photo by Gunnar Grimnes