不妊治療に対して、国からの補助金が出るなど、日本では今後はさらにサポートが充実してきそうです。
また、大阪では健康な女性が卵子を凍結しておいて、結婚後に妊娠・出産した成功例もあり、今後、少子化対策として注目されているようです。
●凍結卵子による妊娠 健康女性で初のケースも
日本では女性の晩婚化が進み、高齢出産や、「卵子の老化」による不妊などへの関心も高まっています。
大阪府内の44歳の看護師が、将来の出産のためにと、独身だった41歳の時に自分の卵子を冷凍保存、その卵子を使用して女児を出産しています。
これまでにも、冷凍保存した卵子による妊娠、出産した事例はありますが、ガン治療などの医学的な理由によるものでした。
今回の看護師のような仕事などの社会的な理由を背景にした、凍結卵子による妊娠と出産が確認されたのは初めてのケースと見られています。
日本での深刻な少子化対策として注目される一方で、日本産科婦人科学会では、健康な女性が社会的な理由で行う卵子凍結を推奨しない、としています。
実際、この44歳の看護師の卵子を凍結した大阪市のクリニックでは、2010年から健康な女性の卵子凍結をスタートさせ、2015年末までには229人の卵子を凍結保存したそうですが、この中で体外受精をしたのは17人、さらに出産に至ったのはこの女性だけと言うことで、とても難しい不妊治療でもあるのです。
未授精の卵子を凍結しておいて、妊娠に成功できる確率は、一説によると、1%といわれています。卵子は精子よりも冷凍に向いていないのです。
●不妊治療には、問題点も残されている
日本産科婦人科学会では、健康な女性の卵子凍結を推奨しないとしている理由として、卵巣出血や感染症などが起こる危険がること、さらに、受精卵や胎児への影響が現在不明であることや、将来的に妊娠、出産が保証できないことを挙げています。
もともと抗がん剤治療などで排卵が難しくなる若い女性患者を想定して始まった卵子凍結ですが、晩婚化による卵子の老化が注目されると同時に、健康な女性が希望するケースが増えているようです。
しかし、問題点も残されていることや、妊娠率もかなり低いこと、さらに、保険適用されないので、多額の費用がかかることも問題となっています。
また、不妊治療の補助金や、人工授精の成功などのニュースにより、独身女性が、卵子を凍結しておけばいつでも妊娠可能であるかのように錯覚してしまうことも問題視されています。
やはり、可能な人は、なるべく早めの妊娠が薦められます。
<出典>
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=5797
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