浦島太郎で皆さんが知っているのは、子どもたちにいじめられた亀を助けた浦島太郎が亀の背中に乗って竜宮城へいき、乙姫からのおもてなしを受けて玉手箱をもらって帰り、浜へ戻ると何年も経っていた、それに悲観して玉手箱を開けるとおじいさんになってしまった、という話でしょう。
●亀を助けたのに、かわいそうな結末の浦島太郎
古くから伝わる浦島太郎の話は、助けてくれた浦島太郎に対して、亀がお礼にしたのは「短い快楽を得る代わりに、生まれたときから囲まれてきた家族やふるさとを失う」という、まるで麻薬や夜遊びを連想させるような返礼なのだそうです。
確かに「竜宮城での夢のような時間」はそのようにも言い換えられますね。
さらに「開けてはいけない」といってわざわざプレゼントを渡し、「玉手箱の中を見てみたい、見るなと言われるほど見てみたい」という人間心理を試すようなことをしかけます。結局、浦島太郎が自分の欲求、欲望に勝てなかったことで、玉手箱を開けると、一瞬で肉体が老化してしまい、「自分が悪いせいでおじいさんになった」という因果応報の結末になっています。
実は、玉手箱を開けたとき、おじいさんではなく、鶴になった、というのが本来のラストになっているようです。鶴になった浦島太郎は、誰も知らない遠くへ飛び立っていった、として物語が終わるのです。
おじいさんであれ、鶴であれ、本来はいじめられていた亀を助けるという善行をしたのに、最終的には不幸な目に合ってしまうという、何とも不合理な終わり方となっています。
これじゃあ浦島太郎がかわいそうですよね。
●本当は永遠のラブストーリーだった
浦島太郎の話が残っているのは、室町時代の御伽草子。1000年近く前からあったんですね。
現在の形になったのは、明治時代。子ども向けの話に書き換えられた際、浦島太郎と乙姫の性行為のシーンがあったため、子どもには不適切ということで削られた部分も多くあるとされています。
また「約束を破るのはよくない」という教訓とするため、ラストに浦島太郎が鶴になるシーンも削られ、おじいさんになったとされています。
しかし、オリジナルの話を見ると、玉手箱の中には「浦島太郎の不老の魂」と「乙姫様の浦島太郎に会いたい気持ち」が入っていて、箱を開けた途端に、浦島太郎は永遠の命を持つ鶴に生まれ変わったのです。
そして、亀に生まれ変わった乙姫様と再会し、二人は末長く愛し合った、という、純愛ストーリーだったのです。
玉手箱を開けて、浦島太郎の姿が変わったのは、決して罰が当たったとか、悲しい結果というわけではなかったのですね。
●海外にも似たような話が
日本以外にも、浦島太郎にそっくりの話が存在します。
アイルランドの神話『ティル・ナ・ノーグへ行ったオーシン(Tir na nog)』では、海に住む美しい乙女と永遠に若くいられる国へいき、3年間過ごして帰ると300年経って全く知らない世界になっていたという、というお話があります。
日本の浦島太郎のストーリーと何か関係があるのかもしれませんね。
CMでの浦島太郎と乙姫様
おまけCM「三太郎シリーズ」
桃太郎、浦島太郎、金太郎、かぐや姫、鬼ちゃん、花咲爺さんなど
<出典>
au「三太郎」CM
http://www.au.kddi.com/pr/3taro/