双子を妊娠しても、そのうちの一人しか育たなかったり、エコーなどで確認できる前に一人がもう一人に吸収されてしまうということはあります。
これは「バニシング・ツイン」と呼ばれ、母親や医師も気づかないうちに、よく起こり得る現象だといわれています。
もう一人に吸収されてしまった場合、特に何の問題もなく単体児として生まれてくるのですが、まれにもう一人の吸収された赤ちゃんが、無事に生まれた方の子どもの体内から摘出されることがあります。
●50万人に1人の事例
双子を妊娠しても一人しか育たずもう一人が母体に吸収される「バニシング・ツイン」は10~15%の割合で起こります。
ところがこの「バニシング・ツイン」には本来母体に吸収されるはずの一人が、もう一人の胎児に宿ってしまう「寄生性双生児」という症状になってしまうケースがあります。
人気漫画ブラックジャックのキャラクター、ピノコも、「寄生性双生児」として登場しますね。
マレーシアのケダ州のスンガイ・プタニ市に住む15歳のShahrilくんはサッカーが大好きな少年ですが、大きくなるにつれ腹部がどんどん目立ってくることや、激しい痛みを感じるようになったことに違和感を覚えました。
そこで腹部から異物を取りだす手術が行われたのですが、なんと母体で成長できなかったもう一人の赤ちゃんの一部が出てきたのです。
大きさも周りが驚くほどあり、髪の毛が長い頭部に手足、さらに生殖器まで摘出されたのです。
この寄生性双生児は非常にまれなケースでしたが、Shahrilくんが良く食べる子だったのは、お腹の中でもう一人の胎児の成長を促していたからとも推測されたのです。
こうした症例は世界中で見られ、インドのウッタル・プラデーシュ州では18歳の女性の腹部から2.5㎏もの骨や髪の毛、歯などが含まれる寄生性双生児が摘出されました。
2010年に香港で生まれた赤ちゃんの体からは2人分のほかの赤ちゃんが発見され、生後3週目で摘出手術を受けたところへその緒も手足も、皮膚に胸郭や骨、さらには腸や脳などの組織までが発見されたんです。
こうした寄生性双生児は医療漫画でも取り上げられたことがあり、激しい腹痛や嘔吐が症状として現れますが、その確率は新生児50万人あたり1人という確率です。
また妊娠初期のまだエコーで確認できるかどうかと言うところで起こるためもう一人が母体に吸収されたのかどうかは超音波検査をしても難しいのが現状なのです。
●インドで摘出された例
インドの18歳の青年、ナレンドラ・クマールさんから摘出された「寄生性双生児」は、なんと2.5キロもあり、骨、髪、歯がそろっていたそうです。
以下、摘出された「寄生性双生児」の画像があります。
ショッキングな写真なので、グロテスクな映像が苦手な方はお戻りください。
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調査した医師は「もう片方の子も、きょうだいの体の中で精一杯生きて、成長を続けていたんでしょうね」と話していたそうです。
単にグロテスクなだけでなく、生まれたかった命として、成長していたのかと思うと、少し切ないですね。
<出典>
http://metro.co.uk/