イギリスがEUを離脱したことはまだ新しいニュースとして世界中を騒がせていますが、その理由の一つに移民難民の受け入れを制限することがあります。
確かにほかの国では移民や難民による暴動や犯罪などが起こっており、移民難民を受け入れることは賛否両論です。
しかし世界には生まれた国を捨てて、危険を冒してまで亡命しようとする力なき人たちがいることをご存知でしょうか。
●ビーチ流れ着いた104の遺体
ある日リビア西部地中海沿岸にあるズワラと言う町の海岸に、104もの遺体が流れつきました。
これは内戦や紛争を免れ、国外で生きることを決めた人々が、ヨーロッパを目指して舟に乗ったものの、5月下旬に転覆してしまったために起こったものです。
国連難民高等弁務官事務所によると、ボートの転覆によって命を落としたのはおよそ700人と言われており、海岸に打ち上げられたのも104ではなくもっと多いのではないかということです。
さらに心を痛めることに、その遺体の中にはまだおむつをしている小さな子どもも含まれていたということです。
●紙おむつがパンパンになって波打ち際に…
海外のサイトには、亡くなった子どもたちの画像が掲載されています。
顔は隠してあります。
水遊びをする幼児がそうなるように、紙おむつがぱんぱんにふくらんでいます。
どの子も、波にもまれて、着ている洋服がめくれあがり、お腹があらわになったり、ズボンがずり下がったりしています。
ついさっきまで、戦闘のない国で生活できるという希望を持って、生きていた親子たちなのです。
一見すると波打ち際で、寝転がって遊んでいるようにも見える子どもたち。
ただ戦争のない場所で生きたかっただけなのに。どれだけ苦しかっただろうと、言葉を失います。
●戦争のない世界に
子どもを安全な環境で健康に育てたいというのは、世界中どこの親も同じ思いです。
戦争のない地域で安心して暮らせる場所を求めるのは、生きている人であれば特に家族を抱える人であればごく自然なことではないでしょうか。
以前、日本でも海岸に流れ着いた、溺死した難民の乳児を抱える人の様子が映し出されました。
海外のサイトでは海岸に漂着した難民の子どもたちの遺体の写真を掲載していることも珍しくありません。
顔は隠されていますがいずれも力の弱い小さなこどもたちで、生きる権利が平等に与えられているのに、命を落とさなければならなかったのです。
今世界中で大統領や首相たちが難民受け入れに対して議論しています。
日本では難民受け入れ態勢がありませんから、遠い世界の話のように感じられますが、世界には命からがら戦争から逃げようとする小さな命があることを忘れず、早くテロや内乱のない子どもたちが犠牲になることのない時代が来ることを祈らずにはいられません。
Photo by Bridget Coila