およそ20年前に登場したと言われる、私たち人類=ホモサピエンスですが、現在のような姿になるまでには、長い長い悠久の時間をかけて進化をしています。
この人類の進化を証明するような痕跡・なごりが、現代の私たちの身体にも備わっています。
●親指と小指をくっつけると・・人間に残る野生動物のなごり
例えば手首の腱です。
手のひらを上にして、腕はテーブルにつけたまま、親指と小指をくっつけてみてください。
そして、そのまま手を少しだけ上にあげてください。
この動作で、手首の腱はどうなったでしょう。
手首の腱がはっきりと現れる人と、現れない人がいます。
この腱は、長掌筋と言われる器官のなごりで、もともとは手首の動きをサポートするための筋肉で、上腕部から手首にかけて伸びています。
しかし、現代の人類にはこの長掌筋は必要なくなったので、現代人で持っているのは13%ほどだと言われています。
眼球の端っこの方に、ピンク色の部分があるのに気づいたことはないでしょうか。
このピンク色の部分を不思議に思ったことはないでしょうか。
これはほとんどの人が持っているのですが、いったいなんのためにあるのでしょう。
これは、瞬膜と言われる器官のなごりで、例えばワニなどの爬虫類が目を閉じる際に使用するもので、目の保護膜としての役割があります。
人類は目の保護膜の役割として、瞬膜ではなくまつ毛を進化させています。
ですからこの器官は必要なくなっているのですが、現代の人類にも、その時の痕跡が残されているのです。
寒いとき、ぞっとしたときに起こる鳥肌も野生動物のなごりです。
全身の毛穴から毛がピンと立ち、毛穴がぼこぼこに立っています。
これは、人類がまだしっかりと体毛があったころには、鳥肌という器官も大切な意味がありました。
体毛が逆立つことで体温が保たれて、危機に直面している場面では、身体を大きく見せて、敵を威嚇するという効果もあったのです。
私たちの身体にも、このようななごりが残っていることを知るのは楽しいことです。
人体の秘密を子供と発見してみてください。
人類の進化を身近に感じることが出来るはずです。
Photo by Family O’Abe