誕生日は誰でもうれしいものですし、子供たちは好きなものを親にプレゼントしてほしいとねだります。
ところがアメリカに住むレイチェルちゃんの願いは子供にしては一風変わったものだったのです。
・少女がお願いした誕生日プレゼント
アメリカ合衆国ワシントン州に住むレイチェル・ベックウィズちゃんは世界には安全な飲み水を飲むことができずに死ぬ人がいるということを知り、9歳の誕生日に安全な飲み水を手に入れるための募金をお願いしました。
しかし目標金額には80ドル足りなかったため、来年は目標を達成すると宣言したのです。
それから1カ月後、母親と車に乗っていたレイチェルちゃんは高速道路に乗ったところで急停車した18輪の大型トラックが引き起こした玉突き事故に巻き込まれ重体に陥ってしまいます。
母親は泣くのをこらえながら集中治療室でレイチェルちゃんの回復を祈りました。
しかし、3日後、レイチェルちゃんの回復の見込みがないことを医師から告げられると、家族は延命治療を止める決断をしたのです。
・少女の願いをかなえた牧師
レイチェルちゃんが亡くなって数週間、地元の教会に勤める牧師がレイチェルちゃんの募金活動を知り、地域住民に紹介したところ、募金活動のホームページが再開されることになりました。
そして世界中に安全な飲み水を、というレイチェルちゃんの思いに賛同した多くの人が募金を次々と行っていったのです。
その結果、集まった金額は127万1713ドル、日本円に換算すると1億3千万円ほどになったのです。
これだけのお金があればおよそ3万8000人の人が安全な飲み水を飲むことができます。
そして家族はエチオピアにある貧しい地域へ募金を寄付することにしました。
レイチェルちゃんが亡くなって1年後、母親と祖父がエチオピアに行くと、地元住民がきれいな水に感謝するプラカードを掲げてくれたのです。
そして教会の中にはレイチェルちゃんの写真が大切に飾られています。
同行した教会関係者は教会と地域住民がレイチェルちゃんのためにも家族を支え続けること、エチオピアの人々の敬意に感謝することを伝えました。
このレイチェルちゃんの行動と思いが、死後、100以上の村に住む6万人以上の人を救ったのです。
Photo by Paula Ferrari