今年も認可保育園の合否結果が家庭に届く時期になりました。
都市部を中心に、全国から「認可保育園に落ちた!」という声が数多くあがり、去年の「保育園落ちた、日本死ね」の書き込みによって注目された待機児童問題も、実際にはなかなか解消していないようです。
●まだまだ保育園に入れない家庭が多い
希望通りでなくても、どこかの認可保育園に入れた家庭はいいのですが、どの園にも入れなかった場合、高額な認可外の園を探したり、勤務時間が確保できずに両親のどちらかが仕事をやめたり、家庭にとって大きな影響があります。
それなのに、各自治体では「待機児童は限りなくゼロに近く、保育園問題は解消している」という成果が強調されています。
役所の言葉と、現実が一致していないようなのですが、これってなぜなんでしょう?
●「待機児童ゼロ」を達成した横浜市で、増えているのは「保留児童」
横浜市は過去、待機児童数が全国ワースト1位でしたが、改革により、待機児童ゼロを達成しました。
しかし、保育園に入れず、仕事をあきらめる家庭は、まだまだたくさん存在しています。
なぜでしょうか?
実は、横浜市では、認可保育園に入れない子は全員「保留児童」と呼ばれます。
そして「保留児童」のうち、ママさん保育室や一時保育の利用、育休の延長、親の離職、自宅での就職活動…これらに、一切当てはまらない人だけを「待機児童」と呼ぶのです。
そのため、ほとんどの人が認可保育園に入れなかった「保留児童」であるものの、「待機児童」にはカウントされず、「待機児童ゼロ」になってしまうのです。
例えば、平成28年4月の横浜市の状況は
保留児童:3,117人
待機児童:7人
なんか、少しずるい気がしますが、この待機児童の定義は厚生労働省が2001年に定めています。
大きな認可保育園の増設が難しい現在、小規模保育や、保育ママなど、あらゆる保育サービスを利用してもらえるよう、きめ細かなフォローができるようコンシェルジュをたてたり、自治体が精いっぱい工夫している過程ともいえます。
また、保留児童という言葉は、横浜市の「入所不承諾(保留)」という言葉に由来してできた呼び方です。
ですから、各自治体によって、この保留児童と似た状態のことを呼ぶ言い方や、定義は異なります。
自治体に問い合わせる場合には、呼び方や定義が異なることに留意しましょう。
●「待機児童」だけでなく「保留児童」の数も確認!
これから住む家や町を探す場合、保育園入園を希望している場合は、「待機児童」の数だけでなく、「保留児童」の実数を確認しておく必要がありますね。
また認可園が激戦の場合、なるべく質の良い認可外の園を探しておいたり、勤務時間の変更ができるか職場に確認したり、転職や親との同居の可能性など、一通り考えておいた方がよさそうです。
Photo by Vic
Source:
http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/kinkyu/file/280426taikijidou.pdf
http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/kinkyu/jidou.html
http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/kinkyu/file/281202taikijidou.pdf