2015年7月1日からスタートした、全国共通の虐待通報ダイヤル「189(いち早く)」。
ご存知の方、すぐに番号を思い出せる方はどのくらいいるでしょうか?
以前は虐待通報は10桁の番号でしたが覚えにくく浸透せず、ようやく3桁になりました。
関係ないと思っている方も、いざというとき、すぐにアクションをとれるよう覚えておきたいですね。
●1週間に1人の子どもが虐待で亡くなっている
実際に子どもが虐待で死ぬと、近所の人は「やっぱり」という反応をすることが多いようです。
「この前大声で泣き叫ぶ声が聞こえた」「子どもがいつも同じ服を着て家の外をうろうろしている」など、予兆があり、虐待に気づいていた人が複数いるのに、誰も通報せず、死に至ってしまうケースがとても多いのです。
虐待かもしれないと思ったら、間違えてもいいから通報するようにと国は訴えています。
その後のご近所づきあいが心配と感じるかもしれませんが、通報した人の匿名性は守られていて、誰が通報したかわからないようになっています。
●虐待児の特徴
虐待のある家庭の子どもには以下の特徴がみられます。
一つだけでは虐待とはいえませんが、いくつも当てはまるようなら、虐待の疑いがあります。
□全身に新しい傷・古傷・やけどなどが混在している。
うちもも、首、二の腕など、通常ケガをしにくい部位にも傷がある
□身体・着ている服が異様に汚い
服装が不自然(季節はずれ、性別やサイズが不適切)
頭髪や手足、爪、歯などが汚れている
□表情が乏しい・大人に怯えた様子がある
□他人に不自然に甘える・しつこくまとわりついてくる
□お腹を空かせている・よその人に食べ物をねだる
□標準に比べて体重も身長もかなり小さい
□友達に攻撃的な言動、弱いものいじめが目立つ
□不自然な時間に子どもだけで外をうろうろしている
親が心配して探す気配もなく放置されている
●虐待家庭の特徴
□近所づきあいが少ない
□子どもや周囲の人間に対して高圧的なふるまいをする
□ささいなことで激しく子どもを怒鳴る、叩く
□自分の子どもの病気や行動を把握していない、興味がない
□いるはずの子どもを最近見かけない
子どもが不在の理由を聞くと、あやふやな回答したり、怒ったりする
●2015年に逮捕された虐待事件の一例
◆タオルを口に巻きうさぎカゴで監禁、死亡
東京都足立区で両親が、3歳男児を4ヶ月間、ウサギ用のケージで監禁。
おむつが臭くなるため、2~3日に1回しか食事を与えていなかったそうです。
騒がないようタオルを口に巻き、窒息死させ、遺体を荒川に遺棄。
いるはずの男児が行方不明の状態でした。
◆生後2か月の次女の頭を握りつぶし、長男は窒息死
兵庫県姫路市で23歳の父親による虐待。
2013年に生後2週間の長男を床に叩きつけるなど虐待。長男は一時保護されましたが、1年後に別の原因で窒息死。
2014年に生後2ヶ月の次女の頭を握りつぶすように強くつかみ、強く揺さぶるなど暴行。命の危険な状態が続いていると報道されました。
◆出産しては殺害、乳児5遺体が自宅から発見される
愛媛県八幡浜市で、34歳独身の母親が、2006~2015年にかけて、子どもを妊娠、出産しては殺し、ナイロン袋に入れて物置などに放置していた。
発見の決め手になったのは近所からの通報。「臨月ほどの大きさだった女性のおなかが急にへこんだのに、赤ちゃんの姿が見当たらない」との情報でした。
上記は虐待のほんの一例ですが、早く通報されていたら犠牲を防げたケースがたくさんあります。
我が子の子育てに必死な時期でもありますが、ご近所でもし気になるお子さんがいたら、気にかけてあげてくださいね。
そして「まずい」と感じたら、迷わず通報しましょう。
●「189」子育て中のパパママも活用して
このダイヤルは児童相談所につながります。
逆に、保護者自身が相談のためにいつでもダイヤルしていいのです。
ママやパパ自身が育児ストレスから虐待してしまいそうだと感じた場合も、パパやママが精神的に参っていると感じた周囲の人も、プライバシーは守られるので、遠慮せず気軽に相談してみてください。
自分が育児ノイローゼになりかけているなら、子どもを一時保護してもらうこともできます。
家庭だけでなんとかしようとせず、地域みんなで子育てをしていきましょう。
児童相談所全国共通ダイヤルは、まだ知らない人も多いので、ぜひシェアして、一人でも子どもの命を救えるよう意識を広げたいですね。
<出典>
厚生労働省
児童相談所全国共通ダイヤルについて
Photo by kathryn