60年もの間、毎週欠かすことなく献血をした男性が、200万人以上もの赤ちゃんの命を救ったとして話題になっています。
話題になっているのは、オーストラリア出身の男性、ハリソンさんで、現在78歳の彼の腕は「黄金の腕」とまで言われて、話題を集めています。
彼は、60年間、休むことなく毎週献血を行ってきました。
それは赤ちゃんの命を救うためでした。
ハリソンさん自身、14歳の時に肺摘出の手術を受けており、この時に輸血パック13個分の血液によって命が救われています。
このことを父親から聞かされたハリソンさんは、自分も大人になったら献血をして誰かを救おうと心に決めたそうです。
実際に彼は老後になった今でも、実際に献血を実行しています。
彼の血液は、赤ちゃんの命を救うために役立つものでした。
ハリソンさんの血液には特殊な抗体である抗Dワクチンが含まれていれることが、献血をして分かったのです。
この特殊な抗体である抗Dワクチンは、『RH血液型不適合妊娠』の問題を解決するために役立つことが判明したため、オーストラリア赤十字から献血を依頼されたのです。
この『RH血液型不適合妊娠』とは、母親の血液型と胎児の血液型が一致しないことによる問題です。
人間の血液型は、A・B・O・ABの4種類に分けられますが、さらにRH因子によってRHプラスとRHマイナスに分けられています。
もし母親にRHプラスに対する抗体がある場合は、RHプラスの胎児の赤血球が異物と見なされて攻撃されてしまうのです。これが『RH血液型不適合妊娠』です。
これにより胎児には重大な疾患を起こすケースも出てきます。
ハリソンさんの血液に含まれている抗Dワクチンは、このRH抗体の生成を防止できます。
現在、オーストラリアで生成されている抗Dワクチンの全てが、ハリソンさん1人の血液から採取されたものだというから驚きです。
恩返しのために始めた献血によって、200万人以上もの赤ちゃんの命が救われているのです。
Photo by Quinn Dombrowski