国民生活センターは2015年10月に、水で膨らむ吸水ポリマーのジェルボールの危険性について警告を発表しました。
つい最近、2歳の女の子がジェルボールを誤飲し、お腹を切り開いて摘出する手術を行ったのです。
吸水ポリマーは、紙おむつや生理用品にも使われていて、自重の100~1,000倍の水を吸収できると言われています。
粉末のような小さな粒ですが、水を吸収すると大きなゼリーのボールのように膨らむのが特徴です。
一度水を含むと、圧力をかけても脱水されません。
最近は、カラフルな製品が多く、インテリア用品、園芸用品、芳香剤、消臭剤、防虫剤などにも使用されて、身近に出回っています。
さらに、子どものお祭りやイベントで、金魚すくいの代わりにジェルボールをすくう遊びが広まったりと、子どもたちが触れる機会が増えました。
これにともない、おいしそうな外見に惹かれて、乳幼児がジェルボールを誤飲する事故が相次いでいます。
今回の事故では、2歳の女の子が直径1センチほどのジェルボールを飲み込みましたが、保護者は気付きませんでした。
何日も経過してから、女の子はひどい嘔吐が始まり、病院で診察を受けたものの、嘔吐が止まらず、ついに大きな病院で開腹手術をしたところ、4センチにも膨れ上がったジェルボールが出てきたそうです。
このジェルボールが腸をふさぐ十二指腸閉塞(へいそく)を起こしていたのです。
水でなく、胃液などの体液を長時間に吸い続けたことで、製品の想定サイズより、はるかに巨大に膨らんでしまったようです。
この事故の他にも、吸水ポリマーの誤飲事故は後を絶ちません。
実際に、女の子がおもちゃのビーズを耳に入れてしまい、ビーズが水を含んで耳の中で膨張し、緊急手術をして取りだした事故もありました。
他には、虫よけ用品のゼリー状の粒1粒を食べてしまった子もいます。
虫を誘因するため甘い香りがして、おいしそうなゼリーに見えるため、ダメとわかっていても、口に入れてしまう子がかなりいます。
確かにジェルボールそのものは、食べても毒性はないため、安全だと、大人も油断しがちです。
しかし、弾力があって柔らかくて、子どもの指でつまみやすく、簡単に口や耳や鼻に入れることができます。
体液を含んで異常に膨らむことで、子どもの小さな気道や腸をふさぐことで、恐ろしい凶器になってしまうとは驚きですね。
ジェルボールのリスクを理解して、子どもが遊ぶ時は目を離さないないよう気をつけた方がよさそうです。
<出典>
国民生活センター
Photo by Valentina Yachichurova
Photo by Helen Penjam