赤ちゃんの養子縁組は海外では取り組みが進んでいるものの、日本では制度の遅れが指摘されています。
●命をつなぐ養子縁組とは?
赤ちゃんの養子縁組は、望まない出産や虐待を受けた子を、愛ある家庭に導くことができる大切な制度です。
親が育てられなくなった6歳未満の子どもは、特別養子縁組と呼ばれる制度によって、戸籍の上でも養父母と親子の関係を結ぶことができます。
新生児の置き去りや子どもを施設に預けたままの状態が続くことを防ぐことができ、子どもに恵まれない夫婦などに迎え入れてもらうことで新たな家庭を築くことができる制度です。
養子縁組を希望したい夫婦は、あらかじめ里親としての登録をしておく必要があります。
特別養子縁組は赤ちゃん縁組とも呼ばれ、全国規模での展開がされており、特に香川県では特別養子縁組とは命のリレーだと考え、重要視しています。
●早く養子縁組した方がいい理由
新生児をはじめ、6歳未満の子どものための特別養子縁組はケースによっては子ども自身の命に関わることがあります。
近年、新生児や幼い子どもが死亡する事件は増加傾向にあり、事件を防ぐためにも子どもを保護したり、必要に応じて特別養子縁組をすることが求められています。
虐待を受けて施設に保護されていたり、育児放棄をされている子どもの場合、早く特別養子縁組をして、なるべくすぐに長く愛情関係を結ぶ家族に出会えることは、子どもの未来に大きく影響を与えると考えられているのです。
●日本ではなぜ養子縁組が進まないのか
しかし、日本ではなかなか養子縁組が実現しない問題を抱えています。
原因として挙げられるのは、生みの親が親権を手放さないことがあると言われています。
日本では親の権利が強く守られていて、親の気持ちが揺れている間、子どもは親と里親と施設の間で行き場が定まらない状態が続き、貴重な幼少期の情緒の形成に、暗い影を落としてしまうのです。
親が納得し親権を手放してもらえなければ、命のリレーである特別養子縁組はできないため、問題が深刻化しています。
親の所有権より、子どもの情緒形成や幸せになる権利を優先することが求められています。
Photo by Ludovic Hirlimann