欧米では綿棒を使った耳掃除が一般的ですが、最近は日本でも綿棒を使う人が増えています。
特に小さな子どもや赤ちゃんは、耳かきより危険が少なくて、肌にも優しい綿棒で、掃除してあげていることが多いでしょう。
子ども自身も気持ち良くて、耳掃除が大好き、という子も少なくないかもしれません。
しかし、最近、欧米でも日本でも、『綿棒をつかった耳掃除』について医師たちが危険性を警告しています。
●綿棒での耳掃除は危険!
耳の穴に綿棒を入れて動かしているうちに、多くの耳あかを、からめとるより、奥へ押し込んでしまっているケースが多いようなのです。
押し込まれた耳あかは、鼓膜の手前に溜まり、かたまりになり、やがて耳の穴をふさいで耳を聞こえにくくしてしまいます。
奥にたまった耳あかが、耳の穴を完全にふさいでいます。
耳鼻科医が特殊なピンセットで除去しているところ。
雑菌まみれの耳あかが溜まりすぎると、耳の奥で炎症を起こしたり、最悪の場合、難聴などの障害になることも。
●耳あかにはこんな大事な役割が
実際のところ、耳あかは英語で「Earwax・イヤーワックス」と呼ばれています。
適度な耳あかがあることで、耳の穴に侵入する雑菌や異物を耳あかがキャッチして、奥へ入らないよう保護しているという役割があります。
なので、耳あかを全部スッキリさっぱり除去してしまうと、バリアが無くなり、耳の奥へ侵入しやすくなってしまう危険があります。
また、耳あかは、何もせず放っておくと、時間をかけて、だんだん耳の外へ排出されます。
人間を含むすべての生き物は、本来、耳掃除しなくてもよいのだそうです。
そのため、綿棒で耳あかを奥へ押し込んでしまうと、からめとった雑菌や異物も一緒に、わざわざ耳の奥へ押し込んでいることになります。
キレイにするための耳掃除が、逆効果になってしまうのです。
●正しい耳掃除とは?
でも、確かに『自然に耳の外へこぼれおちる耳あか』は、見た目がきれいではないですよね。
ですので、もしケアするなら、耳の入口付近まできたものを、そっとかき出して、見た目をきれいにする程度で十分なのだそうです。
使うなら、太い綿棒は耳あかを押し込みやすくなるのでご注意を。
大人でも、ベビー用の小さなものを使った方が失敗が少なくなります。
また、清潔好きの日本人は、耳掃除も大好きで、耳掃除をしすぎることで、皮膚が過敏になって耳あかが大量に出る「脂漏性皮膚炎」も問題になっています。
昔ながらの棒の耳かきも、綿棒と同様、刺激になるので、力をいれて擦るのはやめましょう。
気になる場合は、耳鼻科の医師に除去してもらいましょう。
<出典>
Healthy Hearing