社会学者によると、人間はとても賢い種族なのに、ある状況にあれば必ず間違いを犯す傾向があり、一度失敗しても同じシチュエーションでまた同じ間違いを繰り返してしまうといいます。
払い切れないローンを組み、ギャンブル漬けで借金まみれになったり、お金のために命を落とすことだったあるのです。
心理学者のローリー・サントスは、猿でも同じように、お金に対して、人間と同じように「賢いのに狂った判断をする」ことを、実験で実証したと説明します。
●猿も幼児もお金は使いこなせる
人間と最近分岐したオマキザルで実験しました。
猿にお金の代わりのコイン(トークン)をわたし、お金の使い方を教えました。
これを人に渡すと食べ物をもらえる、ということを知ります。
全ての猿がお金の使い方をすぐに覚えました。
さらに財布をもってお店で買い物をする訓練をします。
トークン1枚で、ぶどう2つぶくれるお店と、1つぶしかくれないお店があります。猿は何度か買い物を繰り返すうちに、お得なお店を選ぶようになりました。
人間の幼児も同じだと考えられます。
●猿も賢いのに、お金で「狂った判断」をする
猿がお金を使いこなすようになると、「お金を盗む」という行動をするケースもありました。
また、同じ1コインで、ぶどうが必ず2つもらえる場合と、1コインでぶどうが1つぶか3つぶ、損するか得するかわからない場合を比較したところ、後者の損も得もある方=ギャンブル性のある方を選ぶようになったのです。
盗みも、ギャンブルにはまることも、人間と同じです。
人間は、損することがどれだけ愚かか、頭ではわかっているのに、それを行ってしまうのです。
地球上のあらゆる生き物は、変化を恐れず挑戦しながら進化してきたため、このような傾向があるのだと、ローリー・サントスは説明します。
●ガチャガチャにはまる子どもたち
こうなると、子どもたちが、おまつりのくじや、ガチャガチャにハマってしまうことはよくわかりますね。
スマホゲームの課金やガチャなども同じです。
リスクをおかしてでも、万が一、大成功するかもしれないというワクワクに熱中してしまうわけです。
この気持ちは、裏を返すと、逆上がりに何度も挑戦する原動力にもなっているといえます。
子どもが、愚かと思われる選択をしたとき、「ばかじゃないの!」と叱らず、人間も猿も、そういう生き物なのだと考えると、親の接し方もずいぶん変わってくるかもしれませんね。
<出典>
ローリー・サントス: 「猿の経済界にも見られる不合理性」
https://www.ted.com/talks/laurie_santos?language=ja
Photo by MIKI Yoshihito