就学前の子どもが集まる施設と言えば幼稚園や保育園がありますが、それとは違う「乳児院」という施設があるのをご存知でしょうか。
普段の生活の中では耳にしない乳児院について詳しくご紹介しましょう。
・乳児院ってどんなところなの?
乳児院とは、さまざまな事情で親と生活できなくなった子どもが預けられる24時間対応の宿泊施設です。
これは児童福祉法に基づいて作られたもので、原則として0歳から2歳までの幼児が対象となっていますが、例外的に6歳までの子どもを預かることもあります。
幼稚園や保育園と名前は似ていますが、全く趣旨が異なる施設で、ストレートに言えば赤ちゃんの命を救うために設けられた施設なのです。
乳児院に預けられるケースで最も多いのが虐待です。
他には、親の病気や出産などで一時的に面倒を見ることが出来ない場合に入所する子どもいるので、必ずしもネガティブなケースばかりではありません。
さまざまなケースがありますが、子どもが滞在している間、親の面会は可能で交流は続けられます。
またこの乳児院では母親のケアも行っています。
虐待という理由で入所するケースが多いということですが、基本的には虐待している親でも自分で赤ちゃんを育てたいと考えているので、そのサポートもしているのです。
・乳児院にいる赤ちゃんのその後は・・
乳児院では、赤ちゃんをただ入所させて保護するだけではなく、虐待している母親にはケアを行い、家に戻ってからも育児がしやすいようにサポートしています。
乳児院にいる子どものうち、半数ほどがその後、家庭に帰っていきますが、25%ほどが児童養護施設に預けられ、15%ほどが里親のところで生活するようになります。
乳児院では、一般の家庭のようにキッチンやお茶の間、お風呂などがあり、ここで家に帰ってからの生活のシミュレーションが出来るようになっています。
また各種イベントが開催されていたり、絵本の読み聞かせやオイルマッサージなども開催されています。
乳児院で生活する子どもたちの半数以上が親の虐待によって預けられているのですが、これは特別なことではありません。地域の子育て支援センターなどでは育児のサポートを行っているので、1人で行き詰まってしまう前にぜひ利用してください。
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