出産前は美術館や劇場で芸術鑑賞をするのが好きだったというママもいるでしょう。
しかし子どもが小さいとなかなか美術館や図書館、劇場に行くことができず、かといって預けられる親戚もいなければ一時預かりを頼む方とお金がかかるということから諦めてしまうママも多いです。
そこで首都圏では子どもを預かる施設を文化施設内に設け、ママに芸術鑑賞を楽しんでもらおうという動きが盛んになっています。
東京都内にある美術館や劇場ではすでにサービスを行っているところが多かったのですが、横浜市などの都市でも子どもを預かるサービスを始めました。
これは子育てしやすい町という印象をママに与えることになりますし、ママは芸術鑑賞を楽しむことができるので双方にとってメリットが大きいのです。
さらに小石川図書館では黄色いエプロンを付けたスタッフを配備し、絵本選びを手伝ったり、育児相談に乗ることを始めました。
「育児コンシェルジュ」と呼ばれるこの制度は普段働いているママや専業主婦にも受け入れられており、初めての子育てに悩みを抱えるママ、子どもの発育が順調なのかどこに相談すればいいのか分からないママなどから高い支持を得ています。
小石川図書館は東京都文京区にあり、100年以上の歴史を誇る歴史ある図書館ですが、この育児コンシェルジュを導入してからは訪れる年齢層にも幅が広がり、1歳に満たない乳幼児から小学校入学前の子どもまでもが利用しやすくなりました。
ほかにも同じ世代の子どもを持つ母親同士が集まり交流の場を設ける取り組みも始めました。
ほかのママたちの苦労話を聞くと、育児が大変なのは自分だけではないと実感し、安心することができるのだそうです。
実際に参加したママからは、家の中では1対1だけど、多くの人と話ができるのは気分転換になると話しています。
小石川図書館館長の山田万知代さんも何気ない相談や会話が気持ちをほぐし、不安を取り除くことになるのでコミュニティーの場の一つとして考えてほしいと言います。
図書館と言うと静かにしなければならない、走り回ってはいけないなどというイメージがありますが、子育て世代の親御さんたちの交流の場として変わりつつあるのです。
Photo by Abigail Batchelder