子育ては、子どもの進化の連続で、成長に感動するのが、親の醍醐味でもあります。
でも、子どもがすっかり大きくなった先輩ママたちが口をそろえて言うのは、「できなかった頃が愛おしい」ということです。
「寝返りできた!」「立った!」「歩いた」「“ママ”って言った!」
つい成長してできるようになったことばかりに目を向け、時にはよその子と比べてしまったり、SNSや育児日記に「今日はこれができるようになった!」と記録したりして、子どもの成長を喜びます。
その気持ちは本物で、子どもの成長を喜ばない親はいないものです。
しかし、一方で「できなかったこと」は、いつかもう見れなくなってしまうという寂しさもあるんですね。
寝がえりができるようになる頃には、いつの間にか、新生児の頃にやっていた「モロー反射」のビクッと手を広げるしぐさは見られなくなります。
歩くのが上手になると、ハイハイの姿を見ることはできなくなります。
おしゃべりが上手になると、「あーうー」などのクーイングや「ばぶばぶ」「まんまー」などの喃語(なんご)は聞けなくなります。
「這えば立て、立てば歩めの親ごころ」という言葉がありますが、つい次のステップに進んでほしいと思ってしまうのが親の本能。
でも、間もなく永遠に見ることができなくなる、「できない姿」を、愛おしく脳裏に焼き付けたり、写真や日記に残してみるのもいいかもしれません。
イヤイヤで、道路の真ん中に寝転がって大泣きされて、親も泣きたくなる…、なんて経験も、写真に収めて、数年後の笑い話にしてみませんか?
オムツが外れるのが遅くても、おしゃべりが上達しなくても、抱っこばかりせがまれても、数年後、十数年後には、愛おしい記憶になるのです。
Photo by Donnie Ray Jones