今や社会問題と言ってもいいDVや虐待などの暴力行為ですが、実はここ最近、娘が母親に対して行う家庭内暴力が増えています、
わずか数年で、相談件数が18倍にも上った娘から母親に対する暴力。
なぜ起こるのか、母と娘たちの共通点は何なのか見てみましょう。
●暴言、物を投げる
娘が、母親に対して「死ね」「このくず!」など大声で暴言を吐き、ののしりながら、物を投げたり、母に馬乗りになって殴ったりするケースが増えています。
割れたガラスで顔を切ったり、物が当たって網膜剥離になるなどのケガが発生し、年々、凶暴化しているようです。
●社会経験の少ない女性に多い家庭内暴力
母親に家庭内暴力を行う娘の多くは、引きこもりや登校拒否などで、社会経験が少なく、人間トラブルがトラウマになってしまっている人です。
また家庭内暴力が増えるのは、思春期の中学生、高校生世代ではなく、20~30代と言う成人を過ぎてからです。
娘は大人になって力が強く、母は年老いていますから、母親が受ける被害は大きいのです。
家庭内暴力に走る子に多いのは「成績や素行も悪くなくて、比較的おとなしい子」という特徴があります。
しかし、ちょっとしたきっかけで、いじめへ仲間からの孤立にあい、家庭以外に居場所がなくなってしまい、母親しか話し相手がいなくなってしまうのです。
母親を支配するために、言葉や肉体的に暴力を振るうことが多いようです。
●母親は、過干渉または放任
親御さんの共通点として多いのは過保護か放任主義という両極端な育て方をしていることです。
たとえば親御さんが過保護で娘の行動をすべて手伝っているような育て方をしていると娘さんは甘やかされていることを当たり前のことととり、女王様やお姫様のように育ってしまうのです。
そうすると周りは自分のいうことなら何でも聞いてくれる存在で、どんなわがままも思いのままと勘違いして育ってしまうのです。
また、母親が娘のためと思って、様々な習い事を強要したり、今日起こった出来事などを何でも聞きだそうとすることで、娘の自立心を邪魔され、娘がストレスを溜めこんでしまうこともあります。
娘も母がいないと生きていけない、母も娘の世話をしないと落ち着かない、このような関係を「共依存」といいます。一見、仲良し親子に見えつつも、実際は互いの自立ができない、依存症のようなダメな関係になっているのです。
男の子と違って、思春期に暴れることがない女の子ですが、母親に干渉されるまま、成人後も生活が続いてしまい、ある時に、それまで溜めたマイナスの感情が限界量を越えてしまい、爆発して家庭内暴力へとつながってしまうのです。
●母が働いていると家庭内暴力が少ない
一方で働きに出ているお母さんへの家庭内暴力は少ないという統計も出ています。
ある程度、子どもの自立に応じて、信頼して任せることが多く、親子に適切な距離感ができるためと考えられます。
家にいることが多く、「子どもの成長が自分の生きがい」という母親ほど、子どものことを必要以上に干渉してしまい、家庭内暴力の被害に遭いやすいのだそうです。
つまり娘は自分の思い通りにならないことなどないと思っていた幼少時代と違い、家の外では話ができない、母親と話すことが中心となって依存してしまう、さらに何かきっかけがあって母親が自分の思い通りにならなかった時に、母が裏切ったという念を抱いてしまい、家庭内暴力へつながってしまうのです。
●仲良し親子ほど注意が必要
母親は大切にすべき、という声もありますが親子そろって依存してしまうことほど危険なことはないということでしょう。
もう一度母と子の関係について家族で考えてみたいものです。
娘に限らず、息子でも、同じように、母が手を焼き過ぎて、家以外に居場所を失い、ひきこもりから家庭内暴力に発展してしまうケースが目立ちます。
エリートで大卒後、就職した後に、社会でつまづいて、25歳くらいからひきこもりになる人も多くいます。
そして、子どもが40代、50代になっても、70~80代の父母に暴力をふるい続けているという家庭も増えてきています。
仲良し親子で、子どもの反抗期がなかった、という家庭ほど、冷静に振りかえってみる必要があるかもしれません。
Photo by U.S. Army