本当にあった、「母親」と「父親」と「息子」の話をご紹介します。
結婚して年々も経ち、奥さんに愛を感じなくなっていた男性は、不倫相手の女性にのめりこみ、ある日奥さんに離婚を切り出します。
突然のことで訳がわからない奥さんは当然のことながら「なぜ離婚しなくてはいけないのか」と激しく問い詰めますが、不倫していた彼には、はっきりとした答えはありませんでした。
●不倫していた男性に訪れた結末
あの手この手で離婚を迫る旦那さん。
理由も分からず離婚を突きつけられる奥さん。
奥さんは泣いていましたが、彼にとってはもうどうでも良く、不倫相手との新しい生活に心が向いてしまっていました。
しばらくたった日のこと、ようやく納得した彼女から離婚の条件が言い渡されました。
子どもの試験が1ヵ月後に控えているため、その間だけはできるだけ今までと同じような生活を過ごしてほしいと。
そのほかに条件がありました。
結婚式の日にしたのと同じように、妻を玄関から寝室まで抱きかかえて運んでほしいと。
何をいっているんだと思いながらも、彼は離婚できる日を夢見て、彼女の条件に応じることにしました。
応じれば1ヵ月後には離婚できるのです。
1日目は何となくぎこちなさを感じました。
子どもも珍しいことを見たかのようにからかってきたので、恥ずかしさの方が先立っていました。
2日目、3日目と日を負うごとにぎこちなさは消え、何となく妻に対する想いがよみがえって来ました。
それと同時に結婚当時とすっかり変わってしまった彼女の体を見て、自分がこんな状態にしてしまったんだという気持ちが生まれてきました。
数日たつとそれはまるで儀式のようになり、彼の妻に対する気持ちも戻ってきました。
彼は不倫相手の元へ行き、妻の元へ戻ると話し、花束を買って家に戻りました。
花束を持って戻ってくると、息子は泣いていました。
旦那さんが戻ってくるまでの間に、奥さんは亡くなっていたのです。
後になって奥さんが数ヶ月ガンと闘い苦しんでいたことが分かりました。
奥さんはもう自分が長くないことを知り、息子と旦那さんの関係が悪くならないように、最後に提案をしてくれていたのです。
時として大切なものを失ってしまってから気が付くことがあります。
大切なものや大切な想い出はしっかり心に刻み込んでおきたいものです。
Photo by Felipe Skroski