ここ数年で知られるようになってきたADHD。
昔は「そそっかしい」「落ち着きがない」と言われてきた性格も、現在であれば、ADHDに分類されるケースがよくあります。
●クラスに1~2名はいる
ADHDは「注意欠陥多動性障害」という一つの障害ですが、症状は人によって個性があり、重度・軽度の差もあります。
軽い場合は「そそっかしい」「おっちょこちょい」など、性格の一種ともとらえられますが、重度の場合は、日常や集団生活などで大きな支障をきたすこともあります。
ADHDの症状で代表的なのは、忘れものが多かったり、お友達をひんぱんに叩いてしまう、などの行動です。
また、集中力がなかったり、気が散ることが多かったり、じっとしていられない、考えずに実行する、など、「不注意」と「多動性」と「衝動性」という、3つの特徴を持っています。
ADHDが疑われる子どもは、2.5~7%と言われ、クラスに1~2人はいるとも言われています。
授業参観のときなどに、もしかしたら、と勘のいい親御さんならADHDの子を見分けることもあるでしょう。
ではADHDの子どもはいったい何を考え、どのように付き合っていけばいいのでしょうか。
●ADHDを理解することが大切
ADHDは生まれつきの脳のクセ、発達の特性、障がい、個性とも考えられます。
ですから、親御さんのしつけが悪いわけでも、本人がしっかりしていないのが悪いわけでもありません。
多くの子どもたちは療育センターに通い、カウンセラーから親御さんも様々な情報を得ます。
そんな中、あるNPO法人が作ったADHDを理解するための動画が分かりやすいと評判を呼んでいます。
●動画で知る、ADHDの子から見た世界
動画の登場人物はADHDを持つ一人の少年です。
部屋は本やおもちゃで散らばっており、母親が朝起こしに来ます。
しかしどんなに声をかけても男の子はなかなか起きることができず、学校の準備をしようと思ってもほかのことが気になって作業が進まないのです。
学校の授業を受けても集中力が欠けてしまい、落書きをしたり、他の子に話しかけたり。
勝手に友達の消しゴムを借りたり、先生に叱られてばかりで、褒められることがほとんどありません。
家でも怒られてばかり。弟の方がしっかりしているくらいです。
子どもは自分が悪いのかと自分を責めますし、母親は自分の育て方が間違っていたのかと自分を責めます。
同じように育てても、他のきょうだいと全然違うし、夫や周囲の人からは「しつけのなっていない母親」と陰口をたたかれることもあり、精神的に追い詰められます。
それはADHDを理解してくれる人が周りに誰もいないからです。
同じADHDのお子さんを抱えるママからも高い評価を得たこの動画を見て、ADHDは「周囲が症状を理解すること」が何より大切なのだということが分かります。
●近くにADHDの子がいたら
もしあなたの周りにADHDの子がいるなら、まずADHDは生まれつきもった特性であること、一人悩んでいることを理解してあげてください。
ADHDの人は、一度始めるとものすごい集中力を発揮したり、他の人に思いつかない独創的なアイデアを持っていたり、明るくてエネルギッシュ、次々と新しい発見をできるなど、すぐれたメリットもたくさんあります。
縛られるルールがない場面では、200パーセントの集中力とパワーで、能力を発揮することもできます。
近くにADHDの子がいたら、個性と割り切って、よい面を探してあげましょう。
大人から見て、すぐ叩くなど乱暴な面があっても、子ども同士は案外、それほど気にせず、楽しく遊んでいるケースも多いのです。
幼い子どもたちは、先入観なく、様々な個性を持つ子と、合わせて友情をつなぐ能力を持っています。
「うちの子ばかり叩かれてる」「あの子に関わらせたくない」など、と大人がやっきになって口を出すと、我が子の「誰とでも仲良くなれる能力」「相手に合わせて行動をコントロールする能力」をつぶしてしまうかもしれません。
ADHDでない子にとっても、一緒に遊ぶと刺激的で楽しい発見がいっぱいあって、学びのチャンスをくれる存在でもあります。
よほどの危険がない限り、見守りたいものです。