ADHDと並んで最近取り上げられるのが自閉症です。
以前はあまり知られておらず自閉症に対する誤解も多かったのですが、そもそも自閉症とはどのような特徴があるのでしょうか。
●「自閉症スペクトラム」と呼ばれる症状
近年は広く、厳密には「自閉症スペクトラム」と呼び、知能の高い低いなどいろんなケースを含めて考えられています。
自閉症は程度によって、知的障害を伴うケース(カナー症候群)や、知能が高くちょっと変わった天才気質のケース(アスペルガー症候群)など、様々な特徴があります。
脳のクセでもあるため、「空気がよめない」「一度集中すると、何時間でものめり込む」「いつも同じパターンを好む」など、自閉症っぽい性格というのも存在し、健常者と障害者に、厳密な境界線があるとはいえません。
●自閉症の代表的な特徴
その症状の特徴としては
・人とのコミュニケーションが苦手
・興味の範囲が偏っていて、行動がパターン化する
などが挙げられます。
コミュニケーションの部分で見てみると、ひとりでいるのが好き、受け身、一方的、感情に配慮できないといったことや、言葉が遅れていたり、オウム返しばかりしていたり、抑揚をつけすぎるあるいはなさすぎる、指示が分からない、会話ができない、敬語が正しくない、冗談が通じない、ということが挙げられます。
相手の気持ちを察するのが苦手なので、言葉を使わない場合でも「ジェスチャーが分からない」「目線などが分からない」「文脈を理解できない」ということがあるのです。
●自閉症の赤ちゃん
赤ちゃんのうちから、他の子と違うな、と感じることがあるかもしれません。
・多動
常に動き回り、次から次へと落ち着きなく移動します。
・こだわりの強さ
一つのものに強く執着し、位置や順番などが同じであるようこだわります。いつもとルールが違うとパニックを起こして泣き叫ぶこともあります。
・睡眠のリズムがつかない
成長しても、夜中に頻繁に起きたり、睡眠時間が極端に少ないなど、慢性的に睡眠の異常が続きます。
・目が合わない
あやすと笑う、ママの顔をじっと見るなどの行動が少なく、意思疎通ができないような感じがします。
・過敏、または鈍感
暑い寒い、痛い、まぶしい、うるさい、など、五感が極端に過敏か、ひどく鈍感かのケースがあります。
衣服の繊維がチクチク感じて大泣きしたり、違和感を嫌がって全裸になってしまうなどの行動をとります。
逆に鈍感な子は、ケガをしていても気づかない、などの反応が見られます。
自閉症の診断は小学校に上がるころにされることもありますし、乳幼児期の健診で指摘されることもあります。
また、診断する先生によって、意見が分かれるケースもあります。
また、上記の特徴は、自閉症児に多く見られる反応ですが、一人ひとりの性格は違うので、現れる反応はその子によって違います。
気になる場合は、市区町村の窓口の発達相談で聞いてみるとよいでしょう。
簡単なテストをしたり、自閉症でなくても、その子に合った教育方法など、アドバイスがもらえるはずです。
●よいところを伸ばそう
自閉症の特徴として、興味を持った分野の知識が豊富なこともありますので、その分野を伸ばしてあげることで社会的成功を収めている人も多いのです。
現在は、自閉症の子に対する支援を行う施設や団体が増えていますし、障害になる場合とならない場合がありますので、早くから子どもの性質を理解し、受け入れて、その子どもに合った環境を与えてあげることが大切です。
Photo by Felipe Skroski