子供が大なり小なり困難に立ち向かっているとき、親としてはつい手助けしてしまいたくなるものです。
しかし子供が成長するために必要な手助けというのは困難から救うことではないのかもしれません。
・診察室のおもちゃの意味
病院に行くと診察室におもちゃがあることに気づくママも多いでしょう。
おとなしく診察を受けさせるためにある、と思っている人が多いでしょうが、実はおもちゃにはさまざまな意味があります。
たとえば車や電車は指をさしてちょうだいを引き出すため、積み木は指先の発達や色の認識を知るため、2種類の果物はどちらがいいか聞くため、ごつごつとしたボールは感触を楽しむため、砂時計は砂が落ちていく様子をじっと見ていられるかなど、様々です。
その中には小さな子供が興味を持って遊びたいと思ってもなかなかうまく扱えないものもあり、子供にとっての困難が生じます。
・お兄ちゃんが見せた弟への思いやり
ある病院の外来に兄弟がやってきたときの話です。
おもちゃの中には硬い蓋でとじられた瓶の中にボールが入っているものがありました。
それを見たお兄ちゃんは瓶の蓋を緩くしておこうね、と弟に渡しました。
自分でできるかではなく、小さい弟ができないことを手助けしてあげることをこのお兄ちゃんはしたのです。
そして弟は簡単に便の蓋を開けることができ、お兄ちゃんも母親も褒めてくれました。
子供はもう少しでできることをほんの少しやりやすくするだけで成長します。
大きな困難を小さな困難に振り分けてあげることで少しずつステップアップすることができるのです。
こどもができた、と実感できることは必ず成長につながりますし大人も楽な気持になります。
今回のお兄ちゃんのような行動は、まさに小さな弟が成長するための小さなステップづくりだったと言えるでしょう。
大きく手助けするのではなく、小さな困難を用意して、子供のできる力を引き出してあげることが本当の手助けではないでしょうか。
Photo by John