妊娠すれば、それまで気にもしなかったことが気になってくるものです。
タバコやアルコールはもちろん、食べるものや飲み物の安全性から、MRI検査や放射線を使用する検査の胎児への影響もとても気になります。
・MRI検査の妊婦さんへの安全性は!?
ノンアルコールビールでも、妊娠中に飲むのは少し不安になるものです。
製造過程に落とし穴があるかもしれない、などと考えだしたら、やはり飲めなくなるものです。
口にする食べ物や飲み物の安全性は、実際に口にした妊婦さんから生まれた子どもをそれぞれに追跡することでしか検証できないのですが、これはMRI検査でも同じことが言えます。
強力な磁場と電波を使用する検査ですから、極力妊婦さんは避けます。
しかし、どうしてもMRI検査を受けなければいけない状況になることもあります。
放射線を使用する検査の場合は、たとえ被ばく量が少なくても、一定の確率で胎児への影響があることが分かっています。
放射線は使用しなくても、強い磁場と電磁波、さらに高い騒音にさらされるMRI検査はどうなのでしょう。
外界からの刺激に最も敏感であるとされる妊娠初期の3か月です。
これまで、妊娠後3か月についてのMRI検査の影響を調べた研究が実施されておらず、明確な答えをすることが出来ませんでした。
・妊娠中のMRI検査の安全性を検証する論文が発表された
しかし、このたび、カナダトロントにある病院で、この問題に答えるための研究が実施され結果が論文で発表されています。
妊娠初期3か月にMRI検査を受けた1700人もの妊婦さんから生まれた子どもを、出産時から4歳になるまでを追跡しています。
この1700人の妊婦さんとMRI検査を受けなかった妊婦さんから生まれた子どもを比較しています。
胎児の成長や発生異常、成長異常やガンの発生率などがMRI検査を受けた場合と受けなかった場合とで比較されています。
研究結果では、特に大きな差異はなかったとされています。
この論文によって今後は「MRI検査は妊婦さんでも安全です」ということが出来ます。
もちろん、必要もないのにMRI検査を受けることは勧められませんし、絶対に安全であると言い切れるものではありません。
このように妊婦さんの不安に答えるためには、大規模な調査が必要になり、なかなか検証できないこともあります。
しかし、検証を諦めることなく、妊婦さんの不安を解消するための追跡研究が行われることを期待したいですね。
Photo by Julita B.C.