子供の成長度合いを比較してはいけないと頭では理解していても、実際に同年齢の子供がそばにいると、つい比較してしまうものです。
よその子にできていることが、どうして自分の子供はできないのだろうと不安に感じたり、よその子ができないことを、自分の子供は難なくできる姿を見て優越感に浸ったり。違っているところに気がつくたびに、気になってしまいます。
初めての子供の場合、子育ても手探り状態で、不安もたくさんあると思います。保健所で行われる乳幼児健診に行くと、ついついまわりの子供の成長の度合いをチェックしてしまうお母さんが多いのではないでしょうか。
自治体によって健診を実施する月齢が異なりますが、3~4カ月健診では首が座っているかどうか気になる点です。抱きかかえる時に、まだ頭を支えながらでないと安定しない赤ちゃんもいれば、首の座りもしっかりしてきて抱っこも楽になっている赤ちゃんもいます。
6カ月から10カ月健診では、寝返りやお座りなどができるかどうかが健診項目になっています。発育が遅れていると感じると、親としては何がいけないのだろうと不安と焦りが生じてきます。
しかし、この不安と焦りは必要ありません。
発育が早い子もいれば、遅い子もいます。何でもできる子もいれば、何をすることにも時間がかかる子もいます。これらもすべて、その子にしかない個性です。親の不安や焦りは、その子の個性をかき消してしまっていることと同じです。
1歳5カ月を迎えてやっと歩き始めたという子供のお母さんは、この子は本当に自分の足で歩くようになるのだろうかと不安に感じていたと言います。
その不安は大きくなるばかりなので、かかりつけの小児科の先生に相談したところ、「これほど高速にハイハイする子供が歩かないわけがありません。体が出来上がってから歩き始めるこの子は、きっと怪我をあまりしない子供になりますよ。」と話してくれたようです。
その子供は現在、まったくそのとおりで、体の骨格がしっかりしていて怪我をしないようです。そして、何をするにも慎重に物事を進めていく性格のようです。
乳幼児期の成長の度合いが、その子供の個性となって表れているように思えます。
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