赤ちゃんをお腹の中に迎えると、多くの場合は月満ちて問題なく生まれてくるものと思うのですが、時には未成熟のまま生まれてくる赤ちゃんもいます。
医療技術の発達により、25週程度で生まれた赤ちゃんでも生き延びる子はいるのですが、生まれたばかりのころは環境に適応できないため手助けしてあげなければなりません。
いわゆる未熟児の赤ちゃんを育てる場所がNICU(エヌアイシーユ―=新生児集中治療管理室)、そしてNICUを卒業した赤ちゃんが入る場所がGCU(ジーシーユー)です。
●NICU(エヌアイシーユ―)新生児集中治療管理室
NICUは生まれたばかりの赤ちゃんの発達が未成熟、何かしら病気を抱えている場合に入る病棟です。第二の子宮ともいえます。
未熟児として生まれた赤ちゃんの中には500gに満たない場合もありますし、無事に生まれても母親が妊娠中毒症や合併症だった、赤ちゃんの染色体異常があるなどして低体重児として生まれた、生まれつき病気を持っている、仮死状態で生まれたなど、あらゆる場合に入ります。
医療技術の発達とともに、過去には助からなかった母子が救われ、その分、NICUの需要は高まっています。現在新生児科医不足に加えNICUの病床不足も叫ばれており、対応が急がれます。
NICUでは、子宮の中と近い状態で赤ちゃんのお世話をできるよう、特別な環境になっています。無菌状態の薄暗い部屋に保育器が並び、専門の看護師さんが24時間、赤ちゃんたちを見守りながらケアを行います。まだ安定した呼吸ができず、哺乳瓶でミルクを飲めない場合、チューブで口から酸素や栄養を送りながら、治療を進めて、赤ちゃんの成長を補助します。できるだけお腹の中にいる状態と同じ状態で育てられるよう、温度や湿度の管理を行います。
●GCU(ジーシーユー)継続保育治療室
皆さんの中にはNICUという言葉を聞いたことはあっても、GCUという言葉になじみはないと言う方の方が多いかもしれません。
GCUは、状態が落ち着いている、NICUを卒業して、もう少しで退院と言う赤ちゃんが入る病棟です。NICUと併設されていることが多く、同じフロアでエリアを分けて見ている病院も珍しくありません。
子宮の外に出て、新生児として育っていく場所というイメージです。
昼夜の区別をつけるために室内の照明を調整して、日中は明るく、夜間は暗くしています。
産婦人科の新生児室のように、コットが並び、赤ちゃんが眠っています。
低体重児が挿管管理を終えて入ったり、手術を終えて経過観察が良好な子、母乳やミルクを直接口から飲む練習をしている子が入る病棟と思うといいでしょう。
入院日数は赤ちゃんの状態によって異なりますが、家に赤ちゃんを迎える準備期間になるため、家族が一緒になって乗り越えなければならないと言われています。
同じ時期に出産したママたちが、早々に赤ちゃんと自宅に退院しているのに、自分の子だけNICUに長期入院していたりすると、誰のせいでもないのに、「赤ちゃんに申し訳ない」と感じたり、「自分に不足があったのでは?」と自分を責めてしまう人も少なくないようです。
赤ちゃんは、みんな、自分をこの世に生み出してくれたママたちに感謝して、もらった命を精一杯に生きて、前に向かっています。
ママは自分を責めたりせず、赤ちゃんが生まれてきてくれたことへの感謝や喜びをかみしめ、大変なお産を乗り切った自分に自信をもってくださいね。
時には育児支援、NICU親の会といった自助グループなども利用するといいでしょう。
Photo by Jerry Lai