「上の子かわいくない症候群」という言葉を聞いたことがありますか?
「ひどい!同じわが子なのに、差別するなんて母親失格!」
という声も多く聞かれる一方、実際に2人以上のきょうだいを育てているママからは
「わかる…」
という声も。
この言葉は、2012年に雑誌VERYで特集されて、広く知られるようになりました。
●「上の子かわいくない症候群」の正体
「上の子かわいくない症候群」とは手のかかる上の子のお世話に、赤ちゃんのお世話が加わって、いっぱいいっぱいに疲労しているママたちの、一種の育児ノイローゼだと分析されています。
また、これはより弱い者を守ろうとする動物の本能によるものだから、赤ちゃんを優先的に保護してしまうのは、仕方ない現象だとも言われています。
確かに手が一つしかないのに、二人の子から抱っこを求められたら、弱い方のお世話を優先しないと、育児が両立できません。
パパや祖父母など、たくさんの援助があれば、そんな必要はないのですが、ママ一人で複数の子どもたちの育児、さらに家事まで背負っているため、やむを得ずこのような状態になってしまうのです。
●ママ自身が悩んでる!どうしようもない感情
「上の子かわいくない症候群」でよくあげられるのは
「上の子に体を触られると生理的に嫌悪感を感じる」
「まだまだ幼いと頭では理解してるのに、やれるはずのことをやらないと腹が立つ」
「下の子が生まれるまでは許していたことが、許せなくなる」
さらに赤ちゃんがえりや、嫉妬から下の子を攻撃されたりすると、上の子に対する嫌悪感はさらに増してしまうのです。
●誰も悪くない!
これは母親失格とかそういう問題でなく、ママ自身がいっぱいになるほど頑張っている証拠でもあります。
まず、上の子に厳しくなってしまう自分を認めて、仕方がないことだと受け入れましょう。
そして、もちろん、上の子自身にも落ち度は全くないことを思い出しましょう。
それから、言葉だけでもいいので上の子に「あなたが大事」「とってもかわいい」「大好きだよ」など、大切な存在であることを伝えましょう。
気持ちが伴わなくても大丈夫です。
できるなら、パパや他の家族に上の子のケアをお願いしたり、ママと上の子の負担を軽くしてもらうよう、助けを求めましょう。
時には下の子を任せて上の子と二人きりの時間を持つと、憑きものが落ちたように、上の子が愛しいという感覚が戻ります。下の子がいない時は、本来の上の子への愛情がちゃんと出てくるのです。
下の子が大きく成長し、お世話の手間が軽くなり、かばわなくてもよくなってくると、自然に子どもたちを平等に愛せるようになってきます。
Photo by Kathy Hoos