最近、保育園でうつぶせ寝をしていた1歳児が死亡し、ニュースとなりましたが、同様の事故は、実は、毎年何件も相次いでいます。
全ての保育園ではお昼寝中に、こまめに子どもたちの呼吸をチェックするよう義務付けられていますが、スタッフ数の少ない園では、確認がおろそかになってしまうこともあるという実情もあるようです。
お昼寝中の突然死のほとんどは、乳児突然死症候群(SIDS)が原因といわれています。
●乳児突然死症候群(SIDS)とは?
乳児突然死症候群=SIDSは、子どもが眠っている間に、いつの間にか呼吸をせず死んでしまう現象です。
日本では約6,000~7,000人に1人の子が、SIDSで亡くなっています。
SIDSによる死亡が特に多いのは、生後6か月くらいまでの赤ちゃんです。
ただし、3歳未満の子たちも度々起こっているので、大きい子でも油断できません。
また、保育園で起こるとニュースになりますが、実は、かなり多くの件数は、自宅で起こっています。
朝、親が起こそうとしたら、呼吸をしていなかった、というケースが多いようです。
前兆もなく、直前まで元気だった子が突然死んでしまうため、親のショックは大きく、長いこと自分を責めてしまう方も多いようです。
●うつぶせで寝る=乳児突然死症候群(SIDS)なの?
うつぶせ寝で亡くなった子どもの死因の多くが、乳児突然死症候群(SIDS)です。
だからといって、SIDS = うつぶせ寝 …とは限りません。
とはいえ、やはり、つぶせ寝はSIDSのリスクが高いので、避けた方が無難です。
しかし、赤ちゃんは、いつの間にか寝返ってうつぶせになってしまいますよね。
実は赤ちゃんにとって、うつぶせはとても心地よい姿勢なのだそうです。
また、仰向けよりうつぶせの方が眠りやすいという子もいます。
けれども、うつぶせ寝にはリスクもがあることを理解しておきましょう。
必ず仰向けで寝かせ、顔が埋もれているような場合はすぐに体の向きをかえてあげましょう。
●乳児突然死症候群(SIDS)の原因と対策
すやすやと眠る赤ちゃん、「ちゃんと生きてる?」と心配になって、呼吸の確認をしたことがあるかもしれませんね。
しかし育児に慣れてくると、そんなにこまめにチェックすることはなくなります。
うつぶせ寝以外にもSIDSの要因があるので、自宅でもSIDSを防ぐよう気をつけましょう。
【要因・1】 厚着、ふとんのかけ過ぎ、過度の暖房
赤ちゃんは睡眠中に体温が高くなり過ぎると、呼吸を止めてしまうことがあります。
【対策】寝かせる時は靴下をはずし、放熱できる状態に。ホットカーペットやストーブの近くで寝かせない。
【要因・2】 親の喫煙
妊娠中も、生まれた後も、親が喫煙している子は死亡率が高くなります
父親の副流煙や、妊娠中の喫煙も、SIDSの死亡率を高めます。
【対策】子どもがいる部屋で絶対にタバコを吸わないこと。喫煙後20分は子どもに近寄らないようにしましょう。
【要因・3】 柔らかい布団や枕、ぬいぐるみがある
顔が埋もれて呼吸ができなくなることがあります。
【対策】固めのマットレスや敷き布団にし、余計なものは置かないようにしましょう。
【要因・4】 ビニール・紐などがベッド周辺にある
ビニールが顔を覆ったり、紐が首に巻きついて死亡する事故が起きています。
大人なら睡眠中も苦しくなれば払いのけるのですが、乳幼児はそのまま呼吸がとまってしまうことがあります。
【対策】子どもが大きくなっても、これらのものは置かないようにしましょう。
【要因・5】 親の添い寝
親が風邪薬の服用や飲酒など、眠りが深くなる状態で添い寝をするのは危険です。知らずに子どもの顔を覆ってしまうことも。
【対策】ベビーベッドを使う。または、添い寝する時は、親がすぐに起きられる状態で。
【要因・6】 うつぶせ寝
顔が布団に埋もれていたり、胸が布団に密着している状態は、呼吸ができなくなります。
【対策】上記の状態になっていたら、仰向けにしてあげましょう。寝がえりでうつぶせにならないよう、抱き枕を抱かせたり、大きなバスタオルを体の横に固定して、寝がえりを防止する方法もあります。
赤ちゃんの両脇を固定する、寝がえり防止用クッションも市販されています。
他にも、SIDSが多く見られる条件として、男の子、早産で生まれた赤ちゃん、低体重で生まれた子などがあげられます。
また、冬の時期、早朝から午前中の間に起こることが多いようです。
●有名人もわが子を乳児突然死症候群(SIDS)で亡くしている
知られている方だけでも、SIDSでお子さんを亡くされた方が何名かいらっしゃいます。
・お笑いタレントの板尾創路さん(長女を1歳10ヵ月の時)
・歌手のYUKIさん(長男を1歳11ヵ月の時)
・元横綱の千代の富士さん(三女を生後3ヵ月の時)
皆さん、最愛のわが子を亡くして、とても辛い思いをされたようです。
1歳以上のお子さんも多く、誰にでも起こり得ることが伺えます。
突然死を100%防ぐことはできませんが、死のリスクを減らすことはできるので、子どもの環境を見直してあげたいものですね。
Photo by James Willcox