生まれたばかりの赤ちゃんは無菌状態です。
虫歯菌があるパパやママが赤ちゃんにキスをすると、赤ちゃんが虫歯になるのは事実です。
しかし、虫歯菌以上に恐ろしい菌があります。
わが子とキスしたことで、ママが感染し、生まれてくる赤ちゃんに障害をもたらしてしまうのです。一体どういうことでしょうか?
●妊娠中は、わが子とのキスにも要注意
妊娠初期に息子にチューしたことで、母親がサイトメガロウイルスに感染したというケースがあります。
スペインに住むサンドラさんは3人目の子どもを妊娠中にも、上の子2人の子育てに追われていました。
オムツを替えたり、鼻水を拭き取ったりという、どこの家庭でも見かける光景です。
日常的に子どもとキスをしていましたが、その影響で胎児が障害児になっていた事を後から知らされる事になります。
サンドラさんはギリギリまで仕事をしており、陣痛が始まっても慌てる事なく病院に向かいます。
数時間後に3人目となるゴンザレスくんが生まれます。
とても元気で問題なく思えたのですが、2日後に予定していた退院が延期になり母子ともに検査が必要と言われます。
その時ゴンザレスくんの顔には、点状出血があり、やや小さい頭は小頭症の疑いがありました。
さらに、検査結果は脳性麻痺という衝撃的なものでした。
●なぜ脳性麻痺になったのか?
サンドラさんは病歴もなく、原因は不明とされていました。
しかし妊娠初期に風邪を引いた事があり、どうやらこの時にサイトメガウイルスに感染していた事がわかります。
脳性麻痺のゴンザレスくんは自力で食事ができない、話もできないと医師に宣告されますが、今は根気強く治療とリハビリを続けています。
そのかいあって今では笑顔を見せられるまでに回復しているそうです。
●幼児の唾液や尿にはサイトメガロウイルスが含まれることも
サンドラさんは訴えます。
妊婦さんや、これから妊娠する予定の人はサイトメガロウイルスの抗体の検査をぜひしてください。そして、もし免疫がないとわかったら、例えわが子であっても、小さな子どもとの食器の共有やキスなどはやめたほうがいいと警告しています。
サイトメガウイルスは兄弟から感染する事がありますが、免疫があれば問題ありません。
また、ほとんどの人は、感染しても特に問題はないのです。
しかし、妊娠中に感染すると、胎児に脳性麻痺などなんらかの障害が生じるリスクが高くなります。
現在ワクチンがありませんので、妊娠中は気を付ける必要があります。
抗体のない妊婦さんは、子どもの体液に注意しましょう。
キスはおでこやほっぺにとどめ、尿や体液がついた場所は丁寧にふき取り、アルコール消毒や乾燥で滅菌しましょう。
夫から感染する可能性もあるので、妊娠中の性交はコンドームを着用することも大切です。
http://toxo-cmv.org/for_maternity.html
Photo by Scott & Elaine van der Chijs