出産前の染色体検査によってダウン症かどうか分かるようになって数年経ちますが、ダウン症の子はよく人懐っこいと言います。
ただダウン症についてよく知らないという人も多いのですが、ダウン症とはどのようなもので、どうかかわっていけばいいのでしょうか。
●個を大切にすること
ダウン症の子は周囲を和ませてくれる、性格が明るいと言われることが多いようです。
あくまで傾向としてですが、おおらかで楽しい話やギャグなどを好み、みんなを笑わせるのが好きな子が多いといわれています。人と関わることが好きで、人懐っこいといわれることもあります。
もちろん誰でも性格が違いますから、個人差があります。
初対面の人にも笑顔でどんどん話しかける子もいれば、もちろん恥ずかしがり屋で内向的な子もいます。
自閉症を
どんな子であっても「自分の世界、自分のペース」に対するこだわりが、強い傾向があります。そのため、常識のやり方にあてはめて、無理じいをすると、混乱してパニックになったり、問題行動となってしまうことがあるようです。
たとえば服は同じデザイン、同じ色のものしか着ない、靴下は必ず玄関で脱ぐ、寄り道を絶対にしないなどルールが細かく決められているのです。
こうしたルールやこだわりを尊重してあげるのもダウン症の子にとっては非常に大切なことです。
どんな子でもそうであるように、家族や親しい人との関わり、スキンシップ、遊びの時間は大好きです。
●健常児との生活
もしダウン症の子が、集団のルールに合わない行動をしている場合、そばにいる保護者に「わたしから注意しても大丈夫ですか?」と確認してから、本人に優しく伝えるようにしましょう。
もし、改善が難しそうなら、無理じいせず、今日はそういう気分なのね、と流すようにしましょう。
近くに健常の子がいたら、「あの子だけ許してもらって、ずるい」と言われるかもしれません。
そんな時は、その子の特徴を個性として説明できるといいかもしれません。
「鳥は空を飛べるけど、人間は飛べないよね?
大人は車を運転できるけど、子どもはできないよね?
あなたは列に並ぶことができるけど、○○君はまだ列に上手に並べないの。今練習している途中なの。みんな得意なことや、上手にできないことがあるんだよね」
「○○君は、挨拶はできないけど、どんぐりを並べるのは上手なんだよ」とか。
優劣でなく、「差」や「機能の違い」という感じで説明するといいでしょう。
やや語弊があるかもしれませんが、例えば、洗濯機と掃除機では、機能や特徴が違うように…。
一見、健常児がおとなしく納得しそうな言い方として「あの子は病気」「障がいがあるんだよ」という言い方をする人もいます。しかし「人として劣っている」というニュアンスで説明をすると、障がいを持つ人への偏見を育ててしまいます。
障がいは劣っている、という考え方は、その子本人が、将来、事故や病気で障がい者になった時、自分を苦しめることにもなるのです。
大人も子どもも、お互いさまという柔らかい心で接するようになれるといいですね。
●ダウン症の人は同じ顔?
ダウン症の子は、多くが同じような顔つきだと言われることが多いのですが、これは骨格の発達に要因があります。
顔の中心部の発達がゆっくりで、外側は普通のスピードで大きくなるため、外側にひっぱられて、鼻が低めで、つり目になりやすいのです。
●能力は個人差が大きい
ダウン症の人の2~4割は知的障がいがないといわれています。
以前は敬遠されがちだったダウン症ですが、最近は療育施設も増えているので訓練すればできることも増えます。
症状や知能レベルも人によって違いがあり、完全型、転座型、モザイク型と分けられます。
モザイク型なら知能が高く、普通学級に通い、一般の社会生活を送ることができることも多いのです。
実際に書家やモデル、学者など社会で活躍している人もいるのです。
その一方で、重度の知的障害で、意思疎通もままならない子も、それ以上にたくさんいます。
同じ病名でくくれないほど、育てる親御さんの苦労も幅が広く、はかりきれないものがあります。
●合併症も多い
ダウン症の子によくある合併症として、心臓などの内臓に疾患を持って生まれてくるケースが多く、長く生きられない子もたくさんいます。
生後すぐ何度も手術を経験していたり、風邪の悪化が命取りになるお子さんも少なくありません。
育てる親御さんには大きな苦労もあり、人知れず大変な思いをしているかもしれません。
もし近くにいる場合は、保護者の方に直接聞いてしまいましょう。
「○○ちゃんは何が好きなんですか?」
「普段どんなことして遊んでいますか?」
「うちの子、一緒に遊んでも大丈夫ですか?」
「接する時に気をつけた方がいいことはありますか?」
このとき「『ダウン症の子』って~~ですか?」という言いまわしは、避けた方がいいでしょう。本人の名前で「『○○ちゃん』は~~ですか?」という聞き方をしましょう。
Photo by Chris McFarland