子どもの怪我は、子どもがやんちゃになればなるほど仕方ないもの、と思いがちですが、やけどだけは仕方ないではすみません。
実はやけどを負って病院を受診する子どもの数は非常に多く、特にお湯を扱う朝や冬は注意が必要です。
●ある親子の体験
ここで一つの体験談を紹介すると、ある冬、やかんを火にかけていたところ、ママの服が引っかかり熱湯が飛び散ってしまったそうです。
子どもが泣き叫ぶので、何事かと見ると、なんと熱湯は子どもの足にかかっていたのです。
泣き叫ぶ子どもの様子にママはさらにパニックになり、とにかく熱湯がかかった靴下を脱がそうと思いっきり引っ張りました。
すると靴下と一緒に、子どもの足の皮膚もはがれてしまったのです。
これを見て、さらにママはパニックを起こしてしまいました。
とにかく病院に行かなければと、引っ越してきたばかりでどこにやけどを見てもらえる病院があるか分からない状態で、うろたえながら右往左往します。
とりあえずタクシーに頼めば皮膚科に連れていってもらえると病院に行ったものの、靴下を引っ張って皮膚をはがしてしまったことで、やけどの痕が一生残る事態となってしまいました。
小学校に上がると、子どもはやけどの痕をからかわれ、ママは自己嫌悪に陥ります。
子どもにはなんの落ち度もない、ママが応急処置を誤ったのがいけなかっただけなのに…。取り返しのつかない大きな失敗、代われるものなら自分が代わってやりたいと痛感し、自分を責め続けました。
ところが子どもはからかう友達を相手に「こんなやけどの痕、気持ち悪くないよ」と言い切ったそうです。
その言葉にママは涙を流し、自分のせいでやけどの痕が残ったのに、普通ならママをせめてもいいのにと思いました。
しかし子どもはママの気持ちを知っていたので、この言葉が出てきたのです。
ママが子どものやけどを一生懸命なんとかしようとした結果、体に大きな傷を残してしまったこと、ママは必死だったこと、そしてそのことを悔やんでいること。
子どもは小さいけど、よくわかっていたのですね。
●やけどをしたら服の上から冷やす!
衣類を身に着けた状態でやけどを負ってしまったときは、衣類をはがしてはいけない、が原則です。
衣類を着たまま冷水をかけ、服ごと冷やさなければ、皮膚がずるむけになって、痛々しい傷痕が残ってしまいます。
やけどをしたら冷やすということしか認識していない人も多いですが、衣類を着用したままやけどした時の対処方法もこの機会にぜひ覚えておきたいものです。
そして十分にやけどした場所を冷やしたら早めに病院にかかり適切な処置を受けましょう。
Photo by Brooke Raymond