ジコチューというと、協調性がない困った人、という悪いイメージがあるのですが、幼児期のジコチューは健全な成長の証と捉えることができるのだそうです。
●ジコチューでも大丈夫!
自分が楽しいと相手も楽しい、自分が悲しいと相手も悲しい、というのは幼児の考え方です。
このような一見「どうして自分のことしか考えられないの!」と、ママは嘆いてしまいそうな物の捉え方も、健全な心の成長の証なのです。
このような自己中心性こそが、幼児期の認知=ものの捉え方の特性であると、児童心理学者のピアジェ氏は言っています
「自己中心性」と「自己中心的」という言葉は、とても似ていますが、大きな違いがあるそうなのです。
ある程度の年齢になってからの自己中心的な性格は、自分さえ良ければ相手はどうでもいい、などという自分優先で相手を軽視する、本来のジコチューを意味する言葉です。
しかし、ここで言う幼児期の自己中心性は、この自己中心的な性格とは大きく異なっています。
自分を中心といて考えて行動するのが幼児期の子どもの特徴なのですが、これは表面的には自己中心的であると思われがちです。
しかし、幼児期の自己中心性と自己中心的な性格は全く別物なのです。
●心の正常な発達段階にある「自己中心性」
自分も楽しいと相手も楽しいといったものの捉え方は、幼児期特有の自己中心性で、まだ自分と他人との違いが明確に認識できていないために、他人の気持ちを考える、という発想自体がない時期なのです。
つまり、発達が未成熟なために起こるのが自己中心性です。
幼児期特有の自己中心性は、大人から見れば驚くような特性も兼ね備えています。
例えば全ての生物、無生物を人間と同じように感じたり考えたり話しかけたりすることです、
虫や動物、人形などに話しかけたりしますが、これは「アニミズム」と言われるものです。
また、心の中の世界と実際の世界との区別が出来ないので、心の中で強く念じたことは現実になるとった「実念論」の傾向もあります。
太陽や月などのすべての自然界のもの事象は、全て人間が作ったと考える「人工論」の傾向もあります。
この自己中心性は7歳から11歳くらいには自然と解消されていくもので、兄弟や友達とのかかわりを通じて他者の立場になって物事を考える能力が養われていきます。
一見、わがまま・ジコチューに見える言動には、幼児期の発達段階としての自己中心性で、さまざまな経験の中で成長していくので温かく見守ってあげてくださいね。
Photo by Engledow Jenni