出産はどんな時でも命がけですが、それはママだけではなく赤ちゃんも同じです。
40週の正期産で生まれてくる赤ちゃんはいいのですが、時として未熟児で生まれてくる赤ちゃんがいるのも事実です。
・医療の発達と未熟児の増加
ここにわずか450gで生まれたイライヤ・フェイス・パーグスという赤ちゃんがいます。
母親は妊娠したばかりのころ発作を3回起こし入院した経歴があります。
さらに子宮の中のイライヤは動いていないということから緊急帝王切開が行われました。
母親は悪魔に自分の赤ちゃんは渡さないと、迫る恐怖とこみあげる怒りにて叫びながら戦いました。
手術は無事に成功し、3カ月半も早く生を受けたイライヤは450gというあまりに軽い体重。
このような体重で生まれてきた赤ちゃんはアメリカ合衆国ノースカロライナ州のキャロリナス・メディカル・センターでも類がないということで、医師も生きられないだろうと思っていたそうです。
そのため娘に希望を持ってほしいということから信じるという意味のFaithをミドルネームとしたのです。
・何カ月もの激闘の末
イライヤは数カ月もの間戦い続け、毎日未熟児に必要な脂質や糖質、電解質にたんぱく質、ビタミンが投与されました。
数度の手術に人工呼吸器、輸血に耐えた小さな体は5カ月後、3.6㎏にまで成長したのです。
奇跡が降りてきたと父親も母親も喜びました。
そしてようやっとイライヤは帰宅を許され、母親に抱かれながら生命力の強さを訴えてきたのです。
医療が発達した現代、1000g未満で生まれてくる赤ちゃんも珍しくありませんが、生き続けることができる赤ちゃんは本当にまれなことです。
日本でも未熟児を受け入れるためのNICUを設置している病院はあり、多くの赤ちゃんとその家族が日々戦い続けています。
イライヤの奇跡は世界中に知れ渡り、驚きと称賛の声が絶えませんでした。
これはまさにイライヤに生きたいという強い思いがあったからにほかなりません。
どんなに小さな命でも、可能性が低くても命は生き続けることを選択することができるのです。
Photo by Sellers Patton