ちょっとした傷やケガで虐待を疑われることはありますが、病気による皮膚の異常で虐待を疑われることも少なくありません。
虐待を疑われて心を痛めるのは親だけではない、子供も同じなのだという事例をご紹介しましょう。
・皮膚の老化スピードが激しい先天性の病気
香港に住むムイ・トーマスさんは22歳の女性ですが、実は22年も生きていることは彼女にとって奇跡としかいうほかありません。
というのも彼女は生まれながらに皮膚の代謝異常である魚鱗癬という病気にかかっているからです。
魚鱗癬は表皮細胞の老化スピードが一般の人の10倍の早さ。魚の鱗のようになっていく病気です。
ひび割れていく皮膚において感染症にかかるケースが多く、成人する割合はごくわずかと言われています。
そんなある日、ドイツ出身のティナさんとイギリス出身のロジャーさんが香港の病院でボランティアをし、ムイさんの元を数日おきに訪れるようになりました。
ところがムイさんは知的障碍者専門施設に送られることになるという事実を聞き、なぜ、社会から隠さなければいけないのかと2人はムイさんを養子に迎えたのです。
・2人の愛情に包まれて育ったムイさん
ムイさんの成長は順調で、大きくなったムイさんは自信を持って振る舞えるようになっていました。
もちろん周囲の好奇の目はありましたが、ムイさんはそんな人にも笑顔を振りまくのです。
いじめも経験し、自殺したいと思ったこともありましたし、施設によっては一部場所への出入りを禁止されたこともありました。
ティナさんはムイさんにやけどを負わせたとして、女の人につばをはかれたこともありました。
しかしロジャーさんはどんなにつらいことがあっても、世界を楽しみながら生きること、毎日を大切にして生きることをムイさんに伝えています。
生きることは必ず次の曲がり角に待っている希望につながると教え続けたのです。
現在ムイさんは香港にある学習障害の子供たちを教える人として、ラグビーのレフリーとして活躍しています。
フィールドに立てば誰もが公正な目で見てくれるというのです。
障害があっても自分は楽しい時間を持つために生きていると感じているムイさんはその考えを世界中に広めたいと現在も懸命に生き続けています。
Photo by https://www.facebook.com/mui.thomas