赤ちゃんが生まれてこの目で見ることができるのは本当に幸せなことです。
生まれたばかりのわが子が泣く顔、すやすやと眠る顔、次第に増えていく笑顔は子供の成長を実感できる時ですが、その我が子の顔を見ることができなくなったらどう思うでしょうか。
・生まれた赤ちゃんを見ることができない
オーストラリア在住の小学校教師サラ・ホッキングさんは仕事が大好きな28歳の女性ですが、お腹に小さな命を宿しました。
出産やこれからの新しい生活に不安と嬉しさと興奮を抱えていたサラさんでしたが、次第に目の違和感に襲われるようになりました。
授業で使うホワイトボードやパソコンの画面、本の文字が見えづらいと感じ始めたのです。
妊娠中だし仕事もしているし疲れているのだろうと思ったサラさんでしたが、1カ月後、自宅のテレビを見ていた時にキャスターの顔がはっきりと見えない状態になっていることに気づき、ご主人のキャメロンさんと病院へ駆け込みました。
・赤ちゃんの顔は見えなくなっても
検査の結果、サラさんの脳には腫瘍が3つあり、視神経を圧迫しているために視界がおかしくなっていたのです。
中の赤ちゃんは無事でしたが、緊急帝王切開をしなければならず38週で赤ちゃんを出産したのです。
すぐ脳腫瘍の手術を受けるために別の病院へ運ばれたサラさんは息子の様子を確認することもできないまま手術を受けました。
サラさんは助かってみせると意気込みましたが、サラさんを襲った腫瘍は脳腫瘍の内20%ほどを占める髄膜腫で視神経を包み込むようにできており、結果、サラさんは光を失うことになったのです。
突然見えなくなると言うだけでも大変なのに子育ても始まりますからサラさんは苦しみました。
手探りで息子のお世話をしながらパニック障害に見舞われたこともありましたし、子供が笑いかけてくれても見ることはできませんでした。
しかし昼間明るい時間だけぼんやりと息子の顔を見ることができるようになったサラさんは、一瞬見える息子の笑顔に癒されることを楽しみにがんばりました。
1年後、サラさんは前向きに生きながら、今後も家族が希望を感じ取れるような人生をと歩んでいます。
Photo by blindintuition